「パーカー・パイン事件簿」アガサ・クリスティー 『不幸』を解決する異色の探偵ミステリー

パーカー・パインの事件簿アガサ・クリスティーイメージ 小説
sandidによるPixabayからの画像

アガサ・クリスティーの小説「パーカー・パインの事件簿」の感想です。

『幸せではない人の悩みを解決する』との新聞広告を出し、訪れる依頼人の悩みを解決に導く異色の探偵パーカー・パイン。

そんなパーカー・パインの人生相談と、旅行中のエピソード全14編が楽しめるミステリー小説です。

「パーカー・パインの事件簿」基本情報
  • 作者:アガサ・クリスティー
  • 訳者:山田順子
  • 対象:小学校高学年~
    • 性的な描写なし
    • グロテスクな描写ほぼなし
  • 1934年にイギリスで初版が発行(完全ではない)
  • 2021年7月に日本・創元推理文庫で新訳版が刊行
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「パーカー・パインの事件簿」あらすじ

「パーカー・パインの事件簿」はアガサ・クリスティーのミステリー小説です。

『ミステリー』と書きましたし、Wikipediaにも『ミステリー小説』と書かれています。

しかし、この「パーカー・パインの事件簿」はクリスティーのミステリー小説としては異色の作品だと思います。

まずは、そんな「パーカー・パインの事件簿」のあらすじを掲載します。

「あなたは幸せですか? 幸福でないかたはパーカー・パインにご相談ください」そんな奇妙な新聞広告を見てオフィスを訪れる、夫の浮気を疑う妻や、退屈した退役軍人などの悩みを、パーカー・パインはいっぷう変わった方法で、次々解決する。そしてオリエントへの旅に出た彼は各地で事件に遭遇し、見事犯人の正体を見破っていく。官庁で統計をとっていたという異色の経歴の名探偵が活躍する作品14編を収めた短編集、新訳決定版。

パーカー・パインの事件簿―Amazon.co.jp

「パーカー・パインの事件簿」には全部で14もの短編が収録されています。

1話が30ページ前後と短く、短いながらもしっかり楽しめるのが何よりの特長です。

また、この14編で『パーカー・パイン』が登場する短編のすべて。

『パーカー・パイン』シリーズすべてが1冊で読める貴重な新訳版とのことです。

個人的な感想として、パーカー・パインやその仲間たちのキャラクターが優れていたので、もっと他の作品を読みたかったなとも思います。

続きが読みたくなるほど面白いシリーズであったことは間違いないです。

探偵『パーカー・パイン』とは

主人公はタイトルにもなっているパーカー・パイン(Parker Pyne)。

その特徴は

  • 男性
  • 中年
  • 大柄、しかし太っていない
  • 形の良い禿頭
  • 度が強い眼鏡をかけている

というもの。

中年男性の名探偵と聞くと、同じクリスティ作品の人気探偵エルキュール・ポワロを彷彿とさせます。

しかし、元・刑事という肩書きのポワロとは違い、パインの前歴は『官庁で統計をとって資料を作成する仕事』。

その特殊な前歴を生かし、現在は人生相談の事務所を構えています。

あなたは幸せですか?幸福でないかたはパーカー・パインにご相談ください(Are you happy? If not consult Mr Parker Pyne, 17 Richmond Street. )

という新聞広告をタイムズ紙に掲載し、訪れる依頼人の悩みに応えます。

あくまで探偵ではなく人生相談というところが面白いですね。

個人ではなくチームで解決

「パーカー・パインの事件簿」には『チームワーク』という珍しい特徴があります。

パーカー・パインの事務所の事務員を使い、依頼者の要望に応えていきます。

事務員たちは女たらしのイケメン、絶世の美女、女流作家と濃いキャラクターぞろい。

各人が依頼の状況に合わせて役を演じ、依頼人の望みを叶えていく『コンゲーム』といった手法がとられています。

コンゲーム

con game、直訳すると「信用詐欺」。
詐欺師がターゲットを信用させるために、役を演じて騙すこと。

この1つの話の中にパインが筋書きを書いた『もう1つの話』があるという構成(枠物語)により、短編ながらも深みがあるストーリーとなっています。

探偵のみ、探偵と助手のペアではできない華麗な展開は必見です。

そんなパインと事務員たちのチームワークも見所の1つでした。

『人生相談&旅行編』の2部構成

「パーカー・パインの事件簿」は

  • 『~の事件』という人生相談のストーリー(6編)
  • 異国の旅行中に事件に遭遇するストーリー(8編)

の2部構成となっています。

人生相談のストーリーは、新聞広告を見てパインの事務所を訪れた依頼者の願いを叶えるストーリー。

旅行中のストーリーは、パインが旅先で遭遇した事件を解決していくストーリーです。

人生相談のストーリーでは探偵というより演出家のようなパインでしたが、旅行中のストーリーではその探偵ぶりを遺憾なく発揮。

事件の関係者たちの些細な言動も見逃さず、事件を解決に導きます。

パインの旅路はイラク・バグダッドやエジプト、スペイン・マヨルカ島などのオリエント地方。

ほぼイギリスのみで展開される前半とは打って変わり、異国情緒あふれる描写も魅力です。

約100年前の話ですが、今とあまり変わっていないように感じました。

基本的にバカンスを楽しみたいものの、結局事件に巻き込まれていくパインは面白いですが、少し可哀想になります。

どこでも事件に巻き込まれるのは名探偵の宿命ですね。


王道の探偵小説ではない、変化球的な探偵ものが読みたい方にオススメの1冊です。

人間ドラマとしても読み応え抜群のミステリー「パーカー・パインの事件簿」の感想でした。

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