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「エラリー・クイーンの新冒険」エラリー・クイーン 名探偵の推理が冴える短編集2作目

石造りの家 エラリー・クイーンの新冒険イメージ 小説

エラリー・クイーンのミステリー小説「エラリー・クイーンの新冒険」の感想です。

前作「エラリー・クイーンの冒険」に続き探偵エラリー・クイーンが活躍!

「新冒険」には1中編+8短編が収録されています。

傑作と名高い『神の灯』や冒険シリーズ、さらにスポーツが舞台の短編が楽しめる、本格アメリカミステリーの短編集です。

「エラリー・クイーンの新冒険」基本情報
  • 作者:エラリー・クイーン
  • 対象:小学校高学年~
    • やや性的な描写あり
    • ややグロテスクなあり
  • 1940年にアメリカで初版が刊行
    • 日本では1961年に初版が刊行
    • 2020年7月に『新訳版』が刊行

「エラリー・クイーンの新冒険」あらすじ

「エラリー・クイーンの新冒険」はエラリー・クイーンの短編ミステリー小説です。

また、同書は「エラリー・クイーンの冒険」の続編となります。

「エラリー・クイーンの冒険」のあらすじ&感想は↓

前作「エラリー・クイーンの冒険」と同じく短編集ですが、収録されている短編はやや趣が異なります。

まずは、そんな「エラリー・クイーンの新冒険」のあらすじを掲載します。

荒野に建つ巨大な屋敷“黒い家”が、一夜にして忽然と消失するという強烈な謎と名探偵エラリーによる鮮やかな解明を描いて、著者の中短編でも随一の傑作と評される名品「神の灯」を巻頭にいただく、巨匠クイーンの第二短編集。そのほか、第一短編集『冒険』同様「……の冒険」で題名を統一した4編に、それぞれ異なるスポーツを題材にした連作4編の全9編からなる本書は、これぞ本格ミステリ! と読者をうならせる逸品ぞろいである。

エラリー・クイーンの新冒険―Amazon.co.jp

1934年に刊行された「エラリー・クイーンの冒険」から6年後に刊行された、この「エラリー・クイーンの新冒険」。

時代的には世界大戦が間近に迫っている、といった時期ですね。

しかし「エラリー・クイーンの新冒険」は前作よりもエキゾチックな雰囲気が増されていました。

世界大戦前の大らかな空気感漂うアメリカを舞台に、エラリー・クイーンの推理が冴え渡ります。

「エラリー・クイーンの新冒険」の収録作

「エラリー・クイーンの新冒険」には150ページ弱の中編と8つの短編という計9編が収録されています。

中編は、エラリー・クイーンシリーズでも傑作と名高い『神の灯』を収録。

そのうち短編は

  • 新たなる冒険:4編
  • エラリー・クイーンの異色なスポーツ・ミステリ連作:4編

に分けられます。

ここからは、収録作の簡単なあらすじと感想をまとめていきます。

中編『神の灯』

知り合いの弁護士・ソーンに呼び出され、何も分からないうちに田舎の古い大屋敷に連れて行かれるクイーン。

屋敷は道を挟んで古い屋敷(黒い家)・新しい屋敷(白い家)が2つ建ち並んでいるという状態。

屋敷の主人はクイーンが来る直前に亡くなり、同じく連れられてきた主人の生き別れの娘とともに気味が悪い屋敷と屋敷の住人たちに引き合わされます。

不快感を感じながらも新しい屋敷に泊まるクイーンたち。

そんな中、夜が明けると古い屋敷が消えていた!

さらに、クイーンも直接的に襲われ、あわや命の危機という展開に。

屋敷はどこへ消えたのか?

そもそも、なぜ屋敷は消えたのか?

そんな前代未聞の謎にクイーンが挑みます。

人間に消せるはずがない屋敷が忽然と消える、という視覚的なインパクト。

直前に大金を残して屋敷の主人が亡くなっている、という遺産相続絡みのオーソドックスな展開。

また、屋敷の住人たちの醜悪さが際立ち、不気味さと気持ち悪さが文章からジワジワ伝わってくる話でした。

話からは想像できないロマンチックなラストは必見です。

余談

わたしの記憶が正しければ、子供の頃に読んだはやみねかおるさんの「ハワイ幽霊城の謎」がこの『神の灯』と同じようなトリックだったような気がします。

ただ、それだけなのですが、ふと『神の灯』を読んでいて思い出したので書いてみました。

新たなる冒険

新たなる冒険には

  • 宝捜しの冒険
  • がらんどう竜の冒険
  • 暗黒の家の冒険
  • 血をふく肖像画の冒険

という4短編が収録されています。

前作「エラリー・クイーンの冒険」の収録作のように『~の冒険』とサブタイトルが統一されているのが特徴です。

「エラリー・クイーンの冒険」との違いを挙げるとしたら、エラリー・クイーンの父親で警視正のリチャード・クイーンがどの話にも登場しないこと。

さらに、どの話も都市部ではなく田舎町で起こっているということでしょうか。

気になった話は、日本人の資産家の行方不明事件である『がらんどう竜の冒険』。

その日本人資産家の名前が「カギワ・ジト」と言うのですが、正直、この名前が一番の謎でした・・・。

1930年代のアメリカからみた日本、という摩訶不思議なイメージが味わえる話でした。

もちろん、本筋のストーリーはとても面白かったです。

エラリー・クイーンの異色なスポーツ・ミステリ連作

わざわざ「異色」と銘打っているあたり、本当に異色のミステリ連作なのでしょう。

収録された4短編がいずれもスポーツの試合が舞台となっているミステリーです。

収録作と舞台となったスポーツの試合は、それぞれ

  • 人間が犬を噛む:野球
  • 大穴:競馬
  • 正気にかえる:ボクシング
  • トロイの木馬:アメリカンフットボール

となります。

殺人事件や誘拐、宝石泥棒などさまざまな事件が起きつつも、エラリー・クイーンが見事に解決に道B来ます。

しかし、注目すべきはエラリー・クイーンのスポーツによって違う熱量。

野球に関しては、目の前で殺人事件が起きても試合を優先させようとするほどの熱狂ぶり。

その一方、競馬やボクシングにはほぼ興味を抱きません。

アメリカンフットボールは普通にファンのようでした。

また、このスポーツ・ミステリ連作には、すべてに共通してヒロインのポーラ・パリスが登場。

探偵と助手といった名コンビぶりを発揮していました。

統一感はない?むしろ飽きない

この「エラリー・クイーンの新冒険」は中編+冒険シリーズ4編+スポーツ・ミステリ連作4編というバラバラのシリーズが入った短編集です。

小説巻末の解説にもありましたが、たしかに統一性はありませんでした。

しかし、むしろシリーズごとに雰囲気がガラリと変わるので飽きないのも事実。

殺人事件だけでなく誘拐や泥棒といったいろいろな事件を扱う、というのも面白いと思いました。

「エラリー・クイーンの新冒険」は前作「エラリー・クイーンの冒険」と合わせて読むべき小説!

「エラリー・クイーンの冒険」を読んだ方はぜひ手に取ってみてください。

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