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「鈍色幻視行」恩田陸 小説『夜果つるところ』と作者・飯合梓に翻弄される人々を乗せたクルーズ船の行き着く先とは?

クルーズ船 鈍色幻視行イメージ 小説
Thomas WolterによるPixabayからの画像

恩田陸さんの小説「鈍色幻視行」の感想です。

『夜果つるところ』という小説に魅入られた人々の話から紡がれる、不思議なミステリーです。

大長編ながらあまりにも読みやすい小説となっています。

「鈍色幻視行」基本情報
  • 作者:恩田陸
  • 対象:中学生~
    • エログロ描写なし
  • 2023年5月に集英社より刊行
    • 劇中作「夜果つるところ」が2023年6月に刊行

「鈍色幻視行」について

「鈍色幻視行」は恩田陸さんのミステリー小説です。

ミステリー小説、ではありますが、探偵が出てきて謎を解決!といったミステリーではありません。

最後まで答えは明かされず、謎解きもすべて登場人物たちの想像の中で完結します。

何言っているんだ、と思うかもしれませんが、本当にそんな感じです。

読んでいる間も、読み終わった後もずっと『ああ、恩田陸の小説を読んでいる』という感覚に浸れる、ザ・恩田陸の小説と言えるこの「鈍色幻視行」。

まずは、そんな「鈍色幻視行」のあらすじを掲載します。

謎と秘密を乗せて、今、長い航海が始まる。

撮影中の事故により三たび映像化が頓挫した“呪われた”小説『夜果つるところ』と、その著者・飯合梓の謎を追う小説家の蕗谷梢は、関係者が一堂に会するクルーズ旅行に夫・雅春とともに参加した。船上では、映画監督の角替、映画プロデューサーの進藤、編集者の島崎、漫画家ユニット・真鍋姉妹など、『夜~』にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢の取材に応えて語り出す。次々と現れる新事実と新解釈。旅の半ば、『夜~』を読み返した梢は、ある違和感を覚えて――

鈍色幻視行―Amazon.co.jp

「鈍色幻視行」は、小説家である蕗谷梢とその夫で弁護士の蕗谷雅春の視点から描かれていく小説です。

梢は、呪われた小説とささやかれる『夜果つるところ』のノンフィクションを書くため、『夜果つるところ』に思い入れがある人物たちが集まったクルーズ旅行に参加します。

船上で各人の『夜果つるところ』に対する並々ならぬ思いに触れつつ、その小説を読み返した梢は『夜果つるところ』の新たな解釈を見出します。

というのが「鈍色幻視行」のおおまかなあらすじです。

ある小説に囚われた人たちの姿を描く小説。

「鈍色幻視行」の軸となっているのが小説『夜果つるところ』。

そして、その『夜果つるところ』を著した飯合梓(めしあいあずさ)という小説家も物語の中心にいます。

飯合梓に関しては、実際にあったことがある人が登場人物の中で2人しかいなく、しかもうろ覚え状態です。

好き好きにおぼろげな印象を言われているだけなのに、妙に存在感が強い人物でした。

劇中作『夜果つるところ』について

「鈍色幻視行」の劇中作である小説『夜果つるところ』は恩田陸さんの手により、小説として刊行されています。

恩田陸さんが架空の小説家・飯合梓として書いた小説です。

「鈍色幻視行」を読んだ後に、読むべき小説と言えますね。

「鈍色幻視行」登場人物まとめ

個人的に、読んでいて混乱したので、「鈍色幻視行」の登場人物をまとめてみました。

まずは、クルーズ船に乗船したひとたちです。

  • 蕗谷梢:小説家。『夜果つるところ』のノンフィクションを手がけようとする。
  • 蕗谷雅春:梢の夫。弁護士。 『夜果つるところ』の大ファン。
  • 真鍋綾実:真鍋姉妹の姉。漫画家。
  • 真鍋詩織:真鍋姉妹の妹。漫画家。
  • 角替正:映画監督。『夜果つるところ』1回目の映画化の際に助監督だった。
  • 清水桂子:角替の妻。女優。
  • 島崎四郎:元編集者。『夜果つるところ』の文庫版を手がける。
  • 島崎和歌子:島崎の妻。女性誌の元編集者。
  • 進藤洋介:映画プロデューサー。『夜果つるところ』2回目の映画化企画を立ち上げた。
  • 武井京太郎:映画評論家。
  • Qちゃん:武井京太郎の恋人。本名は九重光治郎。

つづいて、クルーズ船には乗っていない人物です。

  • 笹倉いずみ:雅春の元妻。5年前に自殺している。
  • 紘一:梢の元夫。
  • 城田幸宏:映像作家。梢の友人。

こうして書いてみると、登場人物が多い小説でした。

「鈍色幻視行」感想

「鈍色幻視行」の感想です。

クルーズ船旅行に関係者終結!だけど・・・

「鈍色幻視行」は、クルーズ船での旅行中に、小説『夜果つるところ』とその作者・飯合梓について、関係者たちに取材をしていく、というストーリーです。

豪華なクルーズ船での旅行中と聞くと、アガサ・クリスティの「ナイルに死す」を思い浮かべてしまいました。

「ナイルに死す」ではクルーズ船内で殺人事件が起きましたが、この「鈍色幻視行」では何も事件は起きません。

すべて小説『夜果つるところ』と飯合梓についてのみ。

その2つをただただ掘り下げていくことに終始しています。

物語上の現実では事件らしい事件は全く起きませんが、小説や作者への新解釈が次々飛び出し、忙しいくらいです。

会話劇が中心で、一部でインタビュー形式の章もあるくらいですが、ずっと面白くて、どんどん読み進めてしまいました。

呪われた小説

「鈍色幻視行」の軸は、架空の小説『夜果つるところ』とその作者・飯合梓。

小説では、登場人物のほぼ全員が『夜果つるところ』を読んでいる、しかもマニアである、という体なので『夜果つるところ』の内容が大まかに分かるのは中盤以降になります。

読者には『夜果つるところ』の断片的な情報しか与えられず、いやでも想像力がかき立てられてしまいました。

また、関係者が亡くなったことで3度映像化に失敗している、という曰く付きな感じですが、小説の内容自体はそこまで呪いを感じないのも特徴。

この『夜果つるところ』は実際に単行本が刊行されていると知ったので、ぜひとも読みたいと思います。

ミステリー?なのか

「鈍色幻視行」はジャンル的にはおそらくミステリーです。

しかし、題材となる謎は小説とその作者の正体について。

作者・飯合梓は40年ほど前に消息を絶ってから生死すら不明な状態で、答え合わせはできません。

小説の解釈についても同様です。

そのため、謎解きはすべて推測によるもの、でした。

そんなことがあり得るのか?とも思ってしまいそうですが、あり得てしまっています。

劇中の台詞で触れられていますが、これは真実と事実の違いの話なのだろうと思いました。


600ページ以上ある持ち運びが大変困難な小説です。

とっても長いですが、長さを感じさせないほど読みやすい小説でした。

恩田陸さんの小説はいつもそうですが、言葉を味わっている感じです。

非常にのどごしが良いので、スイスイ進んでしまう魅力に浸れます。

ここまで「鈍色幻視行」の感想でした。

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