面白いエッセイを聞かれたら、何をオススメしますか?
わたしだったら、さくらももこさんの「もものかんづめ」を紹介します!
小説は読むけどエッセイは読まない。そもそも、エッセイって面白いの?
というエッセイ食わず嫌いにもオススメできる圧倒的な面白さ。
エッセイの入門としてこれ以上ない「もものかんづめ」をご紹介していきます。
- 大人向け
- 難しい言葉はないので小学生~OK
- さくらももこのエッセイ1作目
- 200万部超えの大ヒットを記録
- 特に50代~の人は面白いかも
「もものかんづめ」のあらすじ
「もものかんづめ」は、マンガ家・さくらももこさんの記念すべきエッセイ第1作目です。
1991年3月に発行されて以来、現在までに発行部数200万部を突破した大ヒット作でもあります。
読んだことはなくてもタイトルは聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか?
まずは、そんな「もものかんづめ」のあらすじを新書版と集英社文庫版を2つ掲載します。
驚異の水虫撃退作戦、たった2ヵ月のOL生活、恐怖の露出狂男との対面事件、銭湯でのコワーイ体験…。漫画とはちがった面白さがいっぱい。発売以来、日本中を笑わせ続けているエッセイ第1弾。
もものかんづめ<新書>ーamazon.co.jp
短大時代に体験した、存在意味不明な食品売り場でのアルバイト。たった2ヶ月間のOL時代に遭遇した恐怖の歓迎会。さくらももこの原点を語る大ベストセラーの文庫化!(対談・土屋賢二)
もものかんづめ(集英社文庫)ーamazon.co.jp
エッセイである「もものかんづめ」の題材は、さくらももこさんの身近な出来事や過去の思い出です。
「ちびまる子ちゃん」の作者・さくらももこさんがどのような人物なのかを知るにはうってつけの一冊です。
さくらももこ=「ちびまる子ちゃん」?
わたしが初めて「もものかんづめ」を読んだのは中学生の時。
「もものかんづめ」は1991年に刊行されました。
その6年後、1997年3月に生まれたわたしは「もものかんづめ」が当時どれだけ売れたかなど体感として知りません。
ただ、母から「ちびまる子ちゃんのさくらももこさんが書いた本だよ」と薦められて手に取りました。
その時点で、わたしのイメージは、
さくらももこ=ちびまる子ちゃん
しかありません。おそらく、わたしの同年代はほとんどそうだと思います。
アニメ「ちびまる子ちゃん」が日曜日の夕方6時に始まる世界に生まれたわたしにとって、さくらももこさんは「ちびまる子ちゃん」の原作者でしかありませんでした。
ペンネームが子どもでも読めるひらがなだけの「さくらももこ」なので、他のアニメ原作者さんよりも親しみやすかったかもしれませんが。
そんなわたしは「もものかんづめ」を読み、度肝を抜かれました。
シニカルすぎる「ちびまる子ちゃん」
中学時代のわたしは、今よりもかなり純粋な女の子でした。
この「もものかんづめ」とアニメ「ちびまる子ちゃん」があまりにもかけ離れていてショックだったのです。
アニメ「ちびまる子ちゃん」のほのぼのした雰囲気を壊すブラックな笑い。
しかし、わたしはアニメ以上に「もものかんづめ」にのめり込んでいました。
単純に面白かったからです。
「もものかんづめ」のさくらももこさんは非常にクールな方です。
冷笑的でシニカルとも言えます。
(しかし、よくよく考えれば「ちびまる子ちゃん」のまる子も皮肉屋ですね)
そのクールなさくらさんが見ている世界は、ありふれた日常なのにどこか偏っています。
さくらももこさんの視点で見る偏った世界を楽しめるのも「もものかんづめ」の魅力の1つです。
恥も外聞もない明け透けさ
他人の心を読むことはテレパシーでも使えない限り不可能ですが、エッセイはそんな他人の心を知るまたとない機会だとわたしは思います。
けれども「公に発表されるので少しよく書いてしまおう」というよこしまな考えを抱くのも当然です。
であるにも関わらず、この「もものかんづめ」は超明け透けなさくらさんの日常・考えが書かれています。
冷静になって考えてみると、大胆すぎる書きっぷりです。
身を切るというのはこういうことなのかと覚悟すらも感じます。
その上、題材の大部分が過去の失敗エピソードなので余計にスゴいです。
凡人の想像をはるかに凌駕する失敗の数々を読んでいくと、この程度の失敗なんてことないと勇気づけられます。
悲しいこと・辛いことがあったときに何度も読み返したくなるのは、そんな失敗の連続でもクールで前向きなさくらさんの生き方にあるのだと思います。
かわいい挿絵で和む
シニカルすぎる「もものかんづめ」の中でオアシス的な存在なのがさくらさん直筆の挿絵の数々。
「ちびまる子ちゃん」のあの絵でクールなエッセイを和ませています。
さくらさんが描くほんわかした絵が好きな方にもおすすめです。
さらに「もものかんづめ」は表紙絵や、カバー下の絵もとってもかわいいです。
このカバー下は新書版にしか書かれていません。
その特別感も気に入っています。
花緒の感想
「もものかんづめ」は、現在50代以上の人が読むと懐かしいと思うエッセイなのだと思います。
しかし、わたしのようなその子ども世代からすると目新しいことばかり。
懐かしいと言うより、一周回って新しい感覚で読めました。
物語ではないのでどの話から読んでも楽しめるのもエッセイの魅力!
さくらももこさんのエッセイ入門として、持っておきたい1冊ですね♪
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