コロナ禍で遠出や旅行ができないときには、小説で旅気分を味わいませんか?
有川浩さんの小説「旅猫リポート」なら、主人公とその愛猫と一緒に日本全国を旅できます。
さらに、猫好きにもぜひにとオススメしたい一冊でもあります。
1人と1匹の愉快な旅と、その旅の目的地とは?
涙なしでは読めない(わたしは普通に泣きました)感動のラストは必見です!
- 作者:有川浩
- 小学校高学年~
- 2012年11月に文藝春秋より刊行
- 第34回吉川英治文学新人賞 受賞
- 第26回山本周五郎賞 候補
- 第4回ブクログ大賞(小説部門) 受賞
- 第4回山田風太郎賞 最終候補ノミネート
- 2014年2月には同作が原作の絵本が刊行
- 2013年に舞台化
- 2018年10月に実写映画化
「旅猫リポート」あらすじ
小説「旅猫リポート」は有川浩さんの長編小説です。
まずはそのあらすじをご覧ください↓。
野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。『僕の猫をもらってくれませんか?』一人と一匹は銀色のワゴンで”最後の旅”に出る。懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。永遠の絆を描くロードノベル。
旅猫リポート―Amazon.co.jp
「旅猫リポート」は、主人公の青年・サトルとその愛猫・ナナの旅の様子を描いた小説です。
サトルは「ある事情」からナナを手放すことになり、そのもらい手を見つけるため古い友人たちを訪ね歩くというストーリーです。
Amazonのレビュー(2021年4月時点)では星4.4という高い評価を得ています。
多くの人に愛されている小説のようですね。
2014年には絵本化
「旅猫リポート」は、小説刊行から約1年後に絵本「旅猫リポート」としても刊行しています。
絵を描かれたのは、小説版でも挿画を務めた村上勉さんです。
ユニークながらも温かみのある絵が「旅猫リポート」の世界により彩りを与えています。
絵本「旅猫リポート」はすべての漢字にふりがなが付いているにで小学生にも読みやすいのが嬉しいポイント!
絵があるのでお子さんへの読み聞かせにもピッタリですね。
2018年には実写映画化
「旅猫リポート」は2018年に同タイトルで実写映画化されています。
主演のサトル役は福士蒼汰さん、猫のナナの声を高畑充希さんが務める豪華キャストです。
今なら映画「旅猫リポート」がAmazon Prime videoで視聴できます。
花緒の感想
わたしの感想と、オススメポイントを書き連ねていきます。
途中からネタバレがあるので、これから読むという方は飛ばしてください。
猫好きにはたまらない!
「旅猫リポート」の面白い点は猫のナナがストーリーの語り手を務めているところ。
猫が語り手の小説だと他には伊坂幸太郎さんの「夜の国のクーパー」が思い浮かびますが、今のところこの2つくらいしか思いつきません。
また、猫のナナとともに、ナナのもらい手候補たちも語り手を務めています。
猫と人間だと、同じ状況でも感じ方・考え方が全然違うのが面白いところ!
猫を飼っている身としては「うんうん、猫ってこうなんだよな~」とうなずかずにはいられない、リアルな描写が満載で、猫好き心は存分に刺激されました。
有川浩さんは、猫がとても好きな方なのだと思います。
猫の目から見た旅の美しさ
「旅猫リポート」は、タイトルの通り猫が旅の様子をリポートしていく小説でもあります。
描かれる日本各地の風景は鮮やかに美しく描かれていました。
しかし、猫の目から見た日本各地の様子は、人間の目から見る様子と少し違っています。
その猫独特の表現が面白く、新鮮です。
有川浩さんは猫になったことがあるのか、というくらい猫の視点で描かれていました。
また、猫は色盲なので人間のように色が認識できていないと言われています。
それでもナナは色の濃淡からサトルがキレイと言った色を覚えていようとします。
そのシーンの描写が美しく感動しました。
主人公が好青年過ぎる
猫のナナに注目が集まりがちな「旅猫リポート」ですが、主人公の青年・サトルもとても魅力的な人物です。
サトルはとにかく好青年。
小説はナナとサトルと親交のあった人たちの視点から描かれているのですが、その人たちの中にサトルに悪印象を抱いている人はいません。
回想でもリアルタイムでも、どの人物もサトルを愛しています。
そしてサトルは色々な人から愛されるだけの魅力を持った人物です。
「旅猫リポート」の大きな魅力の1つは、主人公が誰からも愛される好人物であるという点もあると思います。
とにかく展開がズルい
「旅猫リポート」は(いい意味で)とにかく展開がズルいとしか言えない小説です。
いや、もう最後の方は涙なしでは読めません。
泣くしかないです、この展開は。
どうしてこんな展開を持ってくるんだと、涙ながらに思いました。
Amazonのレビューを観ても「ズルい」「涙腺が崩壊した」という感想が多く、多くの人が有川浩さんの術中にはまっていました。
この↓ではガッツリネタバレを書きますので、まだ読んでいない方は飛ばしてください。
<ネタバレあり>動物+○○は反則
「旅猫リポート」は、余命宣告を受けた青年が愛する猫を引き取ってくれる人を探すため旅に出る、というストーリーです。
主人公・サトルが病気で余命が短いことは物語の中盤で唐突に判明します。
しかし、ナナは最初からすべて分かった上でサトルとともに旅をしています。
動物に「余命宣告」をぶつけてくるなんて・・・。
最近涙もろさが増しているわたしは、もうその設定が判明した時点で鼻がツンとしました。
そして物語の終盤にはサトルとナナの別れも描かれます。
この別れがもう、涙なしでは読めません。
猫を3匹も飼っている猫好きのわたしとしては、あまりにも切なすぎる別れでした。
猫を飼っていると、猫の方が寿命が短いため、猫が先に天国へ行ってしまうことばかり考えてしまいます。
しかし、サトルのように自分が先に死んでしまうことも当然ありますよね。
「旅猫リポート」では自分が先に逝く場合の最高の猫との別れ方が描かれていたと思います。
あんな別れ方ができるなんて、サトルは本望でしょう。
「旅猫リポート」は、理想の飼い主&猫の関係を描いた小説でもあると思います。
とりあえず、猫好きは読みましょう!
「旅猫リポート」は猫と人間の深い信頼関係を描いた小説です。
心がホッとする展開あり、思わず涙する展開ありと内容は盛りだくさん!
読む本がないと悩む猫好きは、直ちにこの「旅猫リポート」を手に取りましょう。