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「ねこのおうち」柳美里 生まれたての子猫6匹が新しい家族に出会うまで、猫好きにオススメの猫小説

ねこのおうち 柳美里 イメージ 小説
Paulina KupisによるPixabayからの画像

柳美里さんの小説「ねこのおうち」の感想です。

猫と、猫の家族を描いた感動作です。

幸せな日常だけでなく、過酷すぎる現実も描かれた、愛猫家のための小説でした。

「ねこのおうち」基本情報
  • 作者:柳美里
  • 対象:小学校高学年~
    • エログロ描写なし
  • 2016年6月に河出書房新社より刊行
    • 2019年6月に文庫化

「ねこのおうち」について

「ねこのおうち」は柳美里さんの小説です。

『猫』とその家族の連絡短編が4編収録されています。

猫好き必見!

愛猫家にも、そうじゃない方にもオススメしたい猫小説となっています。

まずは、そんな「ねこのおうち」のあらすじを掲載します。

ひかり公園で生まれた6匹のねこたち。いま、彼らと、その家族との物語が幕を開ける。生きることの哀しみとキラメキに充ちた感動作!

ねこのおうち―Amazon.co.jp

↑のあらすじですが、書いてあることは間違いではありませんが、このノリで読むとけっこう心に打撃を受けるので、覚悟した方が良いかと思います。

1匹のお母さん猫から生まれた6匹の子猫たち。

その子猫たちと、子猫たちを飼うことになった家族の物語です。

と書くと、とても心温まる優しい物語だと思います。

実際、心温まる優しい物語なのですが、猫たちを取り巻く過酷な現実や悲しい結末もしっかり描かれます。

ただただ幸せなだけじゃない、不幸も描いている小説でした。


この「ねこのおうち」は、わたしにとって初・柳美里作品です。

お名前は存じ上げていたものの、読んだことはありませんでした。

「ねこのおうち」が面白かったので、他の作品にもチャレンジしてみようと思います。

「ねこのおうち」感想・あらすじ

「ねこのおうち」の感想・あらすじです。

愛猫家は読むべき!猫あるあるが満載

わたしは猫を3匹飼っています。

10才のオスが2匹と、9才のメスが1匹です。

そんな愛猫家歴10年以上のわたしなので、この「ねこのおうち」はタイトル&表紙で選びました。

猫が出てくる小説は大抵良い小説です(諸説あります)。

そして、この「ねこのおうち」はやはりとても良い小説でした。

愛猫家として注目すべきポイントは、猫あるあるがこれでもかと詰まっていること。

猫を飼っている方なら「あ~、こんなことするよね~」と思い当たる描写がいくつもあり、思わずほっこりしてしまいました。

「ねこのおうち」を読み、柳美里さんは絶対に猫を飼っているであろう、と思いましたが、調べてみると実際に飼っていました。

この小説は猫を飼っている人間にしか書けません。

野良猫を取り巻く環境の過酷さ

「ねこのおうち」は野良猫の母猫から生まれた6匹の子猫たち各々が、人間の家族に引き取られていくストーリーです。

4編のうち冒頭の『ミーコのおうち』は、その子猫たちの母猫のストーリーとなっています。

なぜ野良猫になったのか。

生い立ちから大人になるまで、そして野良猫になった理由。

結末があまりにも悲しくて、苦しみのあまり続きを読むのが怖くなりました。

ニーコとニーコの家族の身に起こったことは、わたしたちにとっても人ごとではありません。

特に、今のペットは長生きなので、将来のことを真剣に考えるべきだと思わされました。

家族の物語でもある

「ねこのおうち」は猫の小説ですが、猫を引き取った家族の物語でもあります。

捨てられていた子猫を拾う、引き取る家族たちは、みんながみんな幸せな家族ではありません。

それぞれの家族の事情や抱えている問題の重苦しさが赤裸々に描かれ、想像以上にハードでした。

猫との幸せな生活、と読みたい方にはオススメできないかもしれません。

しかし、最期にはちゃんと、それぞれの家族の問題に一応の終止符が打たれます。

どんな結末を迎えるのかにも注目です。

また、小説全体の結末には、思わず目頭が熱くなりました。

けれども感動と同時に、やるせなさやむなしさを感じたのも事実です。

救いとなる存在

「ねこのおうち」において、救いとなる存在は獣医師の港先生や、愛猫家の田中さんでしょう。

港先生の熱い信念と、飄々とした佇まいは、我が家行きつけの獣医師の先生を彷彿とさせるキャラクターでした。

獣医の先生って、全国共通であんな感じなのでしょうか?

また、野良猫を保護し守り続けている田中さんの優しさにも救われました。

野良猫を取り巻く環境はとにかく過酷ですが、それでも守りたいと活動している人たちがいる。

この「ねこのおうち」はフィクションですが、現実にも同じように戦う方たちはいるでしょう。

そんな猫を守るために戦う人たちにスポットライトを当てた小説でもありました。


文体が児童文学のようで、どこかファンタジックなのも印象的でした。

内容が難しくないので小学生でも読めるかと思います。読書感想文にも向いているかもしれません。

思わず目を背けたくなる辛い描写もありますが、猫と人間への愛が込められた小説だと感じます。

ここまで「ねこのおうち」の感想でした。

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