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「魍魎の匣」京極夏彦 複雑に絡み合う『箱』にまつわる謎たちの結末とは?『百鬼夜行シリーズ』2作目

京極夏彦さんのミステリー小説「魍魎の匣(もうりょうのはこ)」の感想です。中禅寺秋彦が探偵役である『百鬼夜行シリーズ』の2作目。『箱』がモチーフの事件が複雑に絡み合う難解なストーリーながら、圧倒的な読みやすさが魅力です。
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「火蛾」古泉迦十 殺人事件に巻き込まれたイスラームの若き行者の運命とは?幻のメフィスト賞・受賞作

古泉迦十さんのミステリー小説「火蛾」の感想です。十二世紀の中東を舞台に繰り広げられる血なまぐさい殺人事件。事件に巻き込まれたイスラーム教の若き行者・アリーが辿り着いた真実とは?神秘的に描かれる、これまで読んだことがない不思議なミステリー小説でした。
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「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬 復讐のため狙撃手となった少女の戦いを描く戦争小説 2022本屋大賞

逢坂冬馬さんの小説「同志少女よ、敵を撃て」の感想です。第二次世界大戦における独ソ戦を、狙撃手となったロシア少女の視点から描く戦争小説です。復讐のため狙撃手として頭角を現す少女・セラフィマの運命とは?2022年本屋大賞・大賞獲得の話題作です。
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「ぼっけえ、きょうてえ」岩井志麻子 とても、怖い 人間の怖さが存分に描かれた古典ホラー

岩井志麻子さんのホラー小説「ぼっけえ、きょうてえ」の感想です。舞台は明治時代の岡山県。古典ホラーとも言えるッホラー短編が4編収録されています。コンパクトですが、人間の怖さが存分に味わえる満足の一冊です。日本ホラー小説大賞・受賞作。
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「QJKJQ」佐藤究 少女の視点から描かれる殺人狂一家の崩壊 江戸川乱歩賞・獲得、異色の犯罪ミステリー小説

佐藤究さんのミステリー小説「QJKJQ」の感想です。快楽殺人犯の家族に囲まれ、自らも殺人を愛する少女・亜李亜(アリア)。ある日、家族の一人が惨殺され、もう一人の家族も失踪してしまいます。平穏な生活を奪ったのは誰なのか?真実を探るうちに、判明した衝撃の真相が描かれます。第62回江戸川乱歩賞・受賞作。
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「燕は戻ってこない」桐野夏生 『代理出産』を巡る代理母・依頼者夫婦、三者の思惑とは?

桐野夏生さんの小説「燕は戻ってこない」の感想です。生活の困窮から代理母になる女性と、代理母を依頼する夫と妻という三者の視点から、代理出産が描かれていきます。基本的に誰もが身勝手、だからこそ面白い。社会問題を痛烈に描いた傑作でした。
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「夜に星を放つ」窪美澄 星・星座を中心に据えた5編が収録された短編小説【直木賞】

窪美澄さんの小説「夜に星を放つ」の感想です。大切な人を失った・失ってしまう人たちを描いた5つの短編が収録された小説です。本作で直木賞を受賞。星や星座がテーマである、静かで繊細な物語でした。
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「名探偵のままでいて」小西マサテル 認知症の祖父が鋭い謎解きを魅せる!このミス大賞の話題作

小西マサテルさんのミステリー小説「名探偵のままでいて」の感想です。第21回『このミステリーがすごい!』大賞を獲得した話題のミステリー、探偵は認知症を患う祖父という意欲作です。日常の謎と大きな謎、いくつもの謎が解明されていく様は快感です。
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「自転しながら公転する」山本文緒 恋愛をしている、けど恋愛だけに集中できない。そんな悩みの行き着く先とは?

山本文緒さんの恋愛小説「自転しながら公転する」の感想です。山本文緒さんにとって最後の長編小説となった、この「自転しながら公転する」。仕事と家庭の悩みに翻弄されつつも、恋人とも一緒にいたい。そんなままならない日常を描いた恋愛小説の傑作です。
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「黒牢城」米澤穂信 籠城の中起きた難事件、解決を導く軍師の意図とは?有岡城の戦いを元にした新感覚時代ミステリー

米澤穂信さんのミステリー小説「黒牢城」の感想です。直木賞受賞作にして、同年の数々のミステリーランキングを獲得した話題作です。有岡城の戦いを元に、城主・荒木村重のあらゆる戦いと、幽閉された黒田官兵衛の『探偵』としての活躍を描いています。
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「恋愛中毒」山本文緒 どうしてそこまで囚われてしまうのか。恋愛の毒に染まっている、至高の恋愛小説

山本文緒さんの小説「恋愛中毒」の感想です。妻ある男性との恋愛に溺れていく女性を描いた恋愛小説ですが、ただ『不倫がテーマの恋愛小説』というには惜しい、爽やかな毒を浴びられる恋愛小説です。
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「火喰鳥を、喰う」原浩 平和で幸せな世界が侵される怖さ!衝撃的すぎるデビュー作

原浩さんのホラー小説「火喰鳥を、喰う」の感想です。墓石から名前が削り取られ、戦死した大伯父の日記が返ってくる。そんな出来事がきっかけに、主人公の平穏な世界が浸されていく恐怖が描かれています。結末まで読むと、また違った怖さが表れるしかけにも注目です。
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「プラナリア」山本文緒 『働かない』ことと、どこか歪んだ恋愛模様を描く短編集 直木賞受賞作

山本文緒さんの小説「プラナリア」の感想です。何もかも、生きてることも面倒くさくて仕事を辞めた。表題作『プラナリア』のような<働かないこと>をテーマに、恋愛模様を交えて描かれた短編小説です。2000年、第124回直木賞受賞作でもあります。
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「夜が明ける」西加奈子 どうして、こんなに理不尽なのか?友人同士の男性2人の人生を描く傑作長編

西加奈子さんの小説「夜が明ける」の感想です。高校時代に出会い、それぞれの人生を歩んでいく男性2人の生き様を描いた小説です。辛く苦しい泥の中でもがくような生活、しかし現代ではありふれた光景でもあります。そんな社会問題も映し出す小説でした。
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「探偵は壊れた街で」サラ・グラン 災害の爪痕が残る街を舞台にクールな探偵の活躍を描くハードボイルド・ミステリー

サラ・グランさんのミステリー小説「探偵は壊れた街で」の感想です。ハリケーンにより大きな被害を受けたニューオーリンズを舞台に、クールでタフな女探偵・クレアの活躍を描くシリーズ第1作です。社会問題に切り込んだ、ハードボイルドな1作となっています。
小説

「滅びの前のシャングリラ」凪良ゆう 終末世界で描かれる愛に溢れた物語

凪良ゆうさんの小説「滅びの前のシャングリラ」の感想です。1ヶ月後に人類滅亡が宣言された世界での人間ドラマが描かれます。主人公たちにとっては地獄から新たな地獄に置き換わった世界。そんな終末世界での愛に満ちた人間模様が魅力の1冊です。
小説

「推し、燃ゆ」宇佐美りん 『推し』を応援し続けたい、その狂気が救いである理由を描く芥川賞受賞作

宇佐美りんさんの小説「推し、燃ゆ」の感想です。推しが炎上し、周囲も変化し続けるものの、自らは同じ場所に留まり続ける。その変わらない狂気に、危うさと救いを求める切実な思いを感じました。2021年芥川賞・本屋大賞9位受賞の話題作。
小説

「ライオンのおやつ」小川糸 残されたわずかな時間を輝かせた女性を描く感動作

小川糸さんの小説「ライオンのおやつ」の感想です。33歳で余命宣告された雫が自身の最期の迎える場として選んだのは『ライオンの家』というホスピスでした。『ライオンの家』で出会いとたくさんの別れを繰り返しながら輝いた雫の人生を描きます。
小説

「ストーリー・セラー」有川浩 不治の病に抗う夫・妻、夫婦の戦いを描く感動作

有川浩さんの小説「ストーリー・セラー」の感想です。不治の病で考えるほどに寿命が削られる妻。また、夫が不治の病になった小説家の妻は、逆夢で不幸を覆そうとするのですが・・・。夫婦の物語を真逆の立場から2通り描く、衝撃の感動作です。
人間ドラマ

「晴天の迷いクジラ」窪美澄 生と死の狭間で迷う3人の未来とは?

窪美澄さんの小説「晴天の迷いクジラ」の感想です。心がボロボロになった3人の性別も年齢も境遇もバラバラの3人。そんな3人が浜に迷い込んだクジラを見に行くことに。辛すぎるハードな展開と、その先に待つ晴れやかなラストが必見の傑作です。
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