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「濱地健三郎」シリーズ2作「霊なる&幽たる事件簿」有栖川有栖 心霊探偵と助手のホラーミステリー短編集

森林のオバケ 小説
Pixabay

有栖川有栖さんのミステリー小説「濱地健三郎の霊なる事件簿」と「濱地健三郎の幽たる事件簿」の感想です。

寒さが厳しい今年の冬ですが、ホラーが読みたい!

しかし、怖すぎるのはちょっと・・・、という方におすすめなのが有栖川有栖さんの「濱地健三郎」シリーズ。

既刊3巻のホラーとミステリーが融合した連作短編集です。

「濱地健三郎」シリーズの基本情報
  • 中学生~
  • ホラー&ミステリー
    • 少しグロテスク
    • 性的な描写はなし
  • シリーズもの(現・2作)

「濱地健三郎」シリーズの簡単なあらすじ

心霊探偵・濱地健三郎(はまじけんざぶろう)が登場する作品は2021年1月現在、

  1. 濱地健三郎の霊【くしび】なる事件簿
  2. 濱地健三郎の幽【かくれ】たる事件簿

の2作品があります。

そのそれぞれのあらすじをAmazonより引用してみます。

まずは、2017年に刊行した「濱地健三郎の霊【くしび】なる事件簿」です。

新シリーズ開幕! 彼には、真実も幽霊(ゴースト)も視えている――

心霊探偵・濱地健三郎には鋭い推理力と幽霊を視る能力がある。事件の加害者が同じ時刻に違う場所にいる謎、ホラー作家のもとを訪れる幽霊の謎、突然態度が豹変した恋人の謎……ミステリと怪談の驚異の融合!

濱地健三郎の霊なる事件簿ーamazon.co.jp

続いて、2020年に刊行した「濱地健三郎の幽【かくれ】たる事件簿 」です。

江神二郎、火村英生に続く、異才の名探偵の事件簿、待望の第2弾!

新宿にある「濱地探偵事務所」には、今日も不可思議な現象に悩む依頼人や警視庁の刑事が訪れる。年齢不詳の探偵・濱地健三郎は、助手のユリエとともに幽霊を視る能力と、類まれな推理力で事件を解き明かしてゆく。

濱地健三郎の幽【かくれ】たる事件簿ーamazon.co.jp

「霊なる」「幽たる」どちらにも短編7話とあとがきが収録されています。

どのお話も50ページ弱と短めで、サクサク読み進められるのも魅力の1つ!

この2作品は、同じ登場人物が同じ世界観に登場する連作短編集です。

「霊たる」が1作目、「幽たる」が2作目となります。

しかし、ストーリーはつながっていないので「幽たる」を先に読んでも大丈夫です。

順番通りに読みたい、という方は「霊→幽」なので幽霊を反対からと覚えてください。

究極、巻末に記されている発行年月日を確認すれば順番を間違えません。


シリーズ3作目「濱地健三郎の呪える事件簿」が刊行しました!

「濱地健三郎の呪える事件簿」の感想はこちら

おすすめポイント 

「濱地健三郎」シリーズのおすすめポイントをご紹介します。

ホラー好きにオススメ

「濱地健三郎」シリーズは、心霊探偵・濱地健三郎が彼のもとに舞い込んできた依頼を解決していくストーリーです。

濱地健三郎は心霊探偵。

幽霊が見え対話できる彼のもとには肩書き通り、心霊絡みの依頼が舞い込みます。

つまりどのお話にもオバケが出てきます。

さらに登場するオバケもいろいろで、亡くなった人だったり完全なバケモノだったりします。

オバケの描写はシンプルですが、それが逆に怖さを引き立てています。

人がグチャグチャ死んでいくホラーが好きな方には物足りないかもしれませんが、普通にホラーが好きな方なら満足できる小説だと思います。

また「濱地健三郎」シリーズはホラーでもありますが、あくまでもミステリー作品です(だと思います)。

人が亡くなるグロテスクな描写はなく、怖い・気持ち悪いという雰囲気もあまりありません。

よって、ホラーが苦手という方でも読みやすいでしょう。

もちろん、ミステリー好きにもオススメ

濱地健三郎は心霊探偵です。

彼に舞い込む依頼はどれも心霊絡みですが、どれもしっかり謎解き要素があるミステリーです。

それもそのはずで、作者の有栖川有栖さんは本来、本格ミステリーの名手として活躍するミステリー作家。

むしろ「心霊」の方が専門外です。

わたしも有栖川有栖さん=本格ミステリーだと思っていたので少し意外な感じがしました。

特に「火村英生」シリーズが好きです。(数年前に斎藤工さんと窪田正孝さんで実写ドラマになった作品の原作です)

ミステリーの名手が手がけるということもあり、濱地健三郎がオバケ絡みの依頼を華麗に解決していくさまは圧巻です。

ただ「亡くなった人が出てくるなら、すぐに解決しそうだけど・・・」と思っていませんか?

ご安心ください。オバケはそんなに都合の良い存在ではありません。

読者にもナゾを提示しつつ、見事に解決していくのでミステリー好きも満足できると思います。

登場人物が魅力的

「濱地健三郎」シリーズにストーリーをまたいで登場するのは全部で4人。

そのうち、全話に登場するのは主人公の濱地健三郎とその助手である志摩ユリエの2人のみです。

探偵と助手、というミステリーでは定番のタッグも楽しめます。

しかし、やはり一番の魅力は主人公の濱地健三郎です。

濱地健三郎の外見は小説内で、

  • 30代にも50代にも見える
  • ロマンスグレーの紳士

と表されています。

年齢不詳だけど紳士然とした男、それが濱地健三郎です。

その性格は、常に穏やかで冷静沈着、けして感情的にはなりません。

そんな雰囲気を裏切らない紳士的な性格、そしてカッコいい振る舞いも濱地健三郎の魅力です。

こんなカッコいい男性は現実にはいないでしょう。

完全にフィクションの世界の住人ですが、フィクションだからいくらカッコよくても構いません。

そして、助手の志摩ユリエも魅力的な人物です。

年齢は20代半ば、外見はなかなかの美人と評されています。

元漫画家志望という過去を持つ彼女は、絵の才能を活かして似顔絵を制作で依頼の解決をサポートします。

正義感が強く依頼人の力になりたい一心で行動を起こしますが、空回りすることもしばしば。

しかし、基本的にまっすぐでイヤミのないキャラクターなので好感が持てます。

また、濱地健三郎と志摩ユリエの2人はあくまで探偵と助手の関係をキープするのも良さの1つだと思います。

おそらくこの先も恋愛関係には発展しない、一定の距離感を保ち続けるのでしょう。

その良い意味でドライな関係性にも心地よさを感じます。

登場人物は2人の他にも、志摩ユリエの恋人や濱地健三郎と懇意の警視庁の刑事などが登場し、物語を彩っています。

各話に登場する依頼人&オバケさんたちもくせ者ぞろいで面白いです。

短編集なので登場人物が少なく覚えやすいのも読みやすさにつながっています。

花緒の感想

「濱地健三郎」シリーズは2作ともテンポ良く話が展開していくので、ついついページが進んでしまいます。

全体的にドライでおしゃれな雰囲気なのも魅力です。

わたしはどちらかと言えば湿っぽい話は苦手なので、そういった意味でも「濱地健三郎」シリーズは好みでした。

この「濱地健三郎」シリーズについて、作者の有栖川有栖さんは「ふさわしいアイデアが思い浮かべば、長編にもチャレンジしたい」と語っています。

わたしはぜひ長編で「濱地健三郎」シリーズが読みたいです!

いつか続編が出ることを願い、その時までゆっくりと待っていようと思います。

続編となるシリーズ3作目「濱地健三郎の呪える事件簿」が登場しました。

ここまで「濱地健三郎の霊なる事件簿」と「濱地健三郎の幽たる事件簿」の感想でした。

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