先日、一部の地域ですが緊急事態宣言が出されましたね。
前回の宣言と違い休校要請は出されませんでしたが、このご時世で学校に通い続けるのは大変だと思います。
今回は、そんな何かと負担が大きい現在の学校生活の癒やし?になるかもしれないエッセイ「ひとりずもう」をご紹介します。
- 小学生~
- 難しい言葉なし
- ただし、女の子向けかもしれません
- 青春時代がテーマのエッセイ
- 作者は「ちびまる子ちゃん」のさくらももこさん
「ひとりずもう」の簡単なあらすじ
さくらももこ6年ぶりの書き下ろしエッセイ
amazon.co.jpーひとりずもう
『もものかんづめ』『たいのおかしら』『さるのこしかけ』『さくら日和』に続く、さくらももこの懐かし・おもしろエッセイです。 『さくら日和』以来の、6年ぶり書き下ろし。著者が最も得意とする少女時代に加え、今まで書いたことのない「思春期」「青春」のエピソードが満載です。イラストも多数掲載。爆笑と感動が詰まっています。
「ひとりずもう」は2005年8月に刊行したさくらももこさんのエッセイ作品です。
エッセイには、10代だった小学生~高校生時代のエピソードが時系列順にまとめられています。
もっと詳しくまとめると、まだ何者でもなかった少女(さくらさん)が漫画家としてデビューするまでのお話です。
後述する初期3部作はエッセイを書いた当時(1990年代前半)のエピソードが中心でしたので、少しテイストが違います。
さくらももこさんのエッセイ作品
さくらももこさんのエッセイと言えば、初期3部作と呼ばれる、
- もものかんづめ
- さるのこしかけ
- たいのおかしら
が有名です。この3作はそれぞれミリオンセラーの大ヒットを記録。(もちろん、わたしも読んでいます!)
この初期3部作はいずれもわたしが生まれる前に出版されているので、当時の人気ぶりは分かりません。
しかし、エッセイで100万部超えというのが驚異的な数字であることは分かります。
ちなみに、わたしのうちにも前々から「もものかんづめ」がありました。
普通の家庭で親しまれていることが分かりますね。
作者・さくらももこさんについて
「ひとりずもう」の作者はさくらももこさんです。
さくらももこさんはエッセイストとしても人気ですが、デビューは漫画家。
おそらくみなさんご存じでしょう。国民的アニメ「ちびまる子ちゃん」の原作者です。
わたしが生まれる前から未だに放送し続けている「ちびまる子ちゃん」。
第一期の放送開始は1990年なので、2021年の今年で32年目に突入します。
(ただ、1992年9月~1995年1月までアニメは放送していなかったので放送期間は30年未満。それでも十分スゴいですが)
日曜日の夕方6時からテレビで毎週観ていた、という方は多いと思います。もちろん、わたしもその1人です。
後番組である「サザエさん」と同じく、ほのぼのとした雰囲気で夕方に家族で観るのにピッタリですよね。
ただ、中にはわたしのように現実に引き戻されたくないとサザエさん症候群に陥る人もいたかもしれませんが・・・。
「明日から仕事・学校が始まってしまう」と考えることで気が滅入り、気分の落ち込みから体調不良やダルさを感じるようになること。
憂鬱な気分になるのが、ちょうど「サザエさん」が放送される夕方あたりなので「サザエさん症候群」と呼ばれるようになった。
そんな日本人ならほとんどの人が知っているであろう国民的アニメの原作者であるさくらさん。
まさか2018年に53歳の若さで亡くなられるなんて思ってもみませんでした・・・。
アニメも好きだった上に、エッセイも大好きだったので訃報を知ったときはショックで言葉が出ませんでした。
今更ですが、ご冥福をお祈りしております。
「ひとりずもう」おすすめポイント
わたしが独断と偏見で「ひとりずもう」のおすすめポイントをご紹介します。
「ちびまる子ちゃん」の2年後からスタート
「ちびまる子ちゃん」の主人公・まるちゃんは永遠の小学3年生です。
そして、この「ひとりずもう」は「ちびまる子ちゃん」の2年後、小学5年生の頃の話から始まります。
「ちびまる子ちゃん」と年代が近いので、さくらさんのエッセイを初めて読む方でも読みやすいかと思います。
ただし「ちびまる子ちゃん」は、あくまでさくらさん自身の小学生時代をもとにしたフィクション。
エッセイである「ひとりずもう」とは、まるちゃんのキャラクターがけっこう違います。
小さいことから慣れ親しんでいたまるちゃんとの違いに最初は戸惑うかもしれません。特に小さいお子さんはショックを受けるのではないでしょうか。
わたしも初めて「もものかんづめ」を読んだとき、あまりのギャップに驚いた覚えがあります。
しかし「ちびまる子ちゃん」とは別物と捉えればとても面白いエッセイです。
思わず共感するエピソード
ネットの掲示板を何となく読んでいた時、さくらももこさんのエッセイを「くずエッセイ」と呼んでいる人がいました。
くずエッセイ、という言い方は褒められたものではありません。
しかし、わたしはこの言葉に少なからず共感してしまいました。
この「くず」は、エッセイの出来が悪いという意味ではありません。
書かれているエピソードがなかなかのくずなのです。
「ひとりずもう」の話を1つ例に挙げます。
高校2年生のさくらさんは部活動として物理部に所属していました。
しかし、基本やる気がなかったさくらさんは夏休みの部活を全サボり。
サボる代わりに家でずっとだらだらしていました。
この時点で、すでにくずレベルは高めです。
ですが、こんなもので終わらないのがさくらさんのスゴいところ。
夏休みの直後にさくらさんの高校では文化祭が行われました。
文化祭では物理部の先輩・後輩たちが必死で展示を行う一方、さくらさんは部活を手伝うこともせず家でテレビを観ていたのです。
しかも文化祭が行われていた3日間すべて!
文化祭すべてすっぽかすなんて逆に大物ですよね・・・。
そして文化祭が終わった頃、物理部の部室に行ってみると・・・。
この話の顛末はぜひ「ひとりずもう」にて確かめてみてください。(このエピソードは「物理部の活動」という話です)
このエピソードを読み、わたしは「くずだな~」と思いつつも激しく共感していました。
堂々とサボれたことをうらやましいとさえ感じます。
実のところ、わたしも学園祭などイベント系の行事が苦手、いや嫌いでした。
わたしのような人は、この話に共感できるのではないでしょうか?
反対に、イベント系の行事が大好きだった!という方にはピンとこないかもしれませんが。
さくらさんのエッセイは、自身のくずさがありのままに描かれているので、素直に共感でき、時には尊敬すらしてしまいます。
その思わず共感してしまう人間くささが「ひとりずもう」、ひいてはさくらさんのエッセイの魅力だと思います。
天才も努力していた
「ひとりずもう」には、さくらさんが漫画家としてデビューするまでのエピソードが書かれています。
わたしたちは、さくらももこさんが後に国民的漫画家になることを知っています。
しかし、そんなさくらさんにもデビューまでに苦労を重ねていました。
高校時代から雑誌に投稿し、デビューするまでおよそ1年間。
毎日寝る間を惜しんで漫画を書き続けたのです。
それまでダラダラとした日々を過ごしていたのに、漫画家になると決意してからは人が変わったように漫画に打ち込みます。
家族からは「漫画家になれっこない」と言われ続けました。
それでもさくらさんは漫画を書き続け、19歳で漫画家デビューを果たします。
これには「やはり結果を残す人は違うな」と思う反面、「結果を残す人も努力している」と思わずにはいられませんでした。
くずエピソードが面白おかしく書かれていると思ったら、夢を実現した過程も書かれている。
そのバランスの良さも「ひとりずもう」の魅力だと思います。
花緒の感想
さくらももこさんの青春時代を描いた「ひとりずもう」は、思春期特有の面倒臭さがふんだんにつまったエッセイです。
体の変化に戸惑ったり、名前を知らぬ男の子に恋をしたり・・・。
完全に一緒ではなくても、遠からずそんな経験があるという話ばかりでした。
わたしにとって、さくらももこさんは親と同年代です。
それでも、どこか懐かしく落ち着くのは、思春期の思い出は世代を超えても共感できるからでしょう。
キラキラしていない、どこか懐かしい思いに浸りたい。
そんなすべての年代の方におすすめするエッセイです。
※↓はマンガ版「ひとりずもう」です。