「怖ガラセ屋サン」澤村伊智 人を恐怖に突き落とす存在を描く、どこか爽快なホラー小説

怖がらせ屋さん怖ガラセ屋サン澤村伊智イメージ 小説
Nick MagwoodによるPixabayからの画像

澤村伊智さんの小説「怖ガラセ屋サン」の感想です。

『誰か』を恐怖の底に突き落とす、そんな「怖ガラセ屋サン」の存在を描いたお話です。

ホラー小説なのでとても怖いですが、読後はスッキリする不思議な小説でもあります。

「怖ガラセ屋サン」基本情報
  • 作者:澤村伊智
  • 対象:中学生~
    • 性的な描写ややあり
    • グロテスクな描写あり
  • 2021年10月に幻冬舎より刊行
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「怖ガラセ屋サン」について

「怖ガラセ屋サン」は澤村伊智さんのホラー小説です。

ホラー小説なので、怖いです。

しかし、怖いのに、読んでいるとどこかスカッとする面白さもある小説でした。

そんな「怖ガラセ屋サン」のあらすじを掲載します。

誰かを怖がらせてほしい。戦慄させ、息の根を止めてほしい。そんな願いを考えてくれる不思議な存在――。「怖ガラセ屋サン」が、あの手この手で、恐怖をナメた者たちを闇に引きずりこむ!

怪談は作りものだと笑う人、不安や恐怖に付け込む人、いじめを隠す子供、自分には恐ろしいことは起こらないと思い込んでいる人……。
こんなヤツらに、一瞬の恐怖なんて生ぬるい!
気づいたときは、あとの祭り。
“怖がらなかったこと”を、後悔させてあげる――。
一話ごとに「まさか! 」の戦慄が走る、連作短編集。

怖ガラセ屋サン―Amazon.co.jp

「怖ガラセ屋サン」は全7話の短編が織りなす連作短編集です。

すべての話に共通するのは、タイトルでもある「怖ガラセ屋サン」の存在。

その「怖ガラセ屋サン」と呼ばれる存在は、黒い服を着た若い女性、という一貫したビジュアルで、人々の前に現れます。

最後までその正体は明かされません。

時代を超えているので、おそらく人知を超えた存在である彼女。

しかし、彼女の正体は掘り下げないので、最後までミステリアスな存在でいてくれて、わたしは好きでした。

また、この「怖ガラセ屋サン」はミステリー要素が強い小説でもあります。

1話ごとにどんでん返しともいえる展開が訪れるので、毎回ビックリしてしまいました。

話の隅から隅まで、意外なところに伏線があったので、細部まで気が抜けない小説でもあります。

「怖ガラセ屋サン」感想・あらすじ

「怖ガラセ屋サン」のネタバレなし各話のあらすじと感想です。

第1話 人間が一番怖い人も

第1話と言うこともあり「怖ガラセ屋サン」の紹介でもある話です。

怪談が趣味という会社の後輩を自宅に招待した上司(語り手)の話です。

後輩は婚約者の女性を伴い自宅を訪れ、食事会が開始します。

和やかな雰囲気だった食事会ですが、後輩の婚約者が語り始めた内容によりその雰囲気が一変。

婚約者の話は想像もできない方向へ向かっていきます。

フィクションだと嘲笑っていた怪談が、自分のすぐそばに潜んでいた。

そんな底知れない恐怖を感じさせるお話です。

無意識の場合もありますが、人の恨みを買うものではない、と切に思わされました。

第2話 救済と恐怖と

スピリチュアルにハマる母親を憂う幼い娘と、スピリチュアルをエサに貧しい人たちを食い物にする詐欺師。

この2人の視点から描かれるお話です。

とにかく結末が怖すぎる話でもありました。

タイトルにある『救済』は全くないです・・・。

第3話 子どもの世界で

同級生をいじめている小学生が語り手の話です。

怪談・怖い話が最も身近であるだろう小学生。

先生に叱られること、親など大人に叱られること、友人たちから回ってくる都市伝説。

すべてに怖がる一方で、自分たちの卑劣な行為をやめないというアンバランスさが小学生らしいと感じました。

話はある意味、中途半端なところで終わります。

だからこそ、彼らに待ち受ける恐怖はまだまだこれからだと思わされ怖かったです。

第4話 怪談ライブにて

お客さんを集め、怪談を披露するという怪談ライブ。

語り手は観客の男性です。

4人の怪談師による怪談が披露された後、客席から怪談を募り、1人の女性に怪談を披露してもらうことに。

その怪談は思いも寄らぬものでした・・・、というお話です。

最期のオチがスッキリしていて、一番スカッとしました。

また、わたしは怪談ライブというものが全くわからないので『こういうものなのか』と興味深く読みました。

第5話 恐怖とは

人気俳優のゴシップを狙うカメラマン。

張り込みをするカメラマンに情報屋の女性が接触するところから始まるお話です。

二転三転する展開と、タイトル『恐怖とは』の意味を考えさせられました。

すべての話の中で、唯一、切ない結末を迎える話だったと思います。

第6話 見知らぬ人の

何が何だかわからない、得体が知れない、でもとにかくすべてが怖い。

そんな話でした。

くも膜下出血で入院している男性が語り手です。

4人部屋で、向かいに入院している患者を見舞う女性の正体が気になる男性。

見舞いに来た妻に、女性の正体を探るよう頼むと、何とも恐ろしい事実がわかってしまいます。

恐怖に取り憑かれた男性。

しかし、そんな男性をさらなる恐怖が襲うことになります。

第7話 怖ガラセ屋サンと

「怖ガラセ屋サン」を探る何者か、の視点で描かれる話です。

恐怖を感じたことがないというその人物は、自分でも奇妙なほどに「怖ガラセ屋サン」に対し執拗な調査を続けます。

そして、ついに「怖ガラセ屋サン」に迫る証拠を入手。

その正体を明かせるのか?というお話です。

これまでの6話のうち、いくつかの話にサラッと触れているこの第7話。

しかし、そのどれもこれまでに書かれていた内容と微妙に異なるのが特徴です。

最後の最後でストレートに怖い話でした。


ホラー小説ですが、悪人を「怖ガラセ屋サン」が成敗していく、という形式でもあるので、勧善懲悪ものとしても捉えられるかと思います。

短編ごとに怖さの種類が異なり、色々な恐怖を味わえたのが良かったです。

ゾッとできるのはホラーの醍醐味ですね。

ここまで、澤村伊智さんの小説「怖ガラセ屋サン」の感想でした。

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