今村昌弘さんの小説「屍人荘の殺人」の感想です。
本格ミステリー小説として、すでに高い人気を誇る「屍人荘の殺人」。
ミステリー好きなら、このブームに乗り遅れたらもったいない!
そのくらい声を大にしてオススメしたい小説です。
- 中学生~
- グロテスクな描写あり、子どもには配慮が必要かもしれません
- 本格ミステリー
→しかし、ミステリー初心者でも読みやすい!- ホラー要素あり
- 大学生の青春要素も
- 2018年「このミス」第1位
- 2019年には実写映画が公開
「屍人荘の殺人」のあらすじ
「屍人荘の殺人」は今村昌弘さんのデビュー作です。
しかしデビュー作ながら、
- 「このミステリーがすごい!2018年版」第1位
- 「週刊文春」ミステリーベスト第1位
- 「2018本格ミステリ・ベスト10」第1位
と名だたる賞を獲得する快挙を達成しています。
面白さはすでに折り紙付きの「屍人荘の殺人」。
そのあらすじをご紹介します。
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。
合宿一日目の夜、映研のメンバーたちは肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!!
究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?!
奇想と本格ミステリが見事に融合する第27回鮎川哲也賞受賞作!
屍人荘の殺人ーamazon.co.jp
あらすじにもありますし、タイトルからも容易に想像できますが、「屍人荘の殺人」は本格ミステリー小説です。
ミステリー好きなら読まないともったいない!
ミステリーに目がない方はただちに本作を手に取ることをオススメします。
また、とにかく設定が凄まじいのも特徴です。
そのぶっ飛んだ設定に翻弄されたい方もぜひ読みましょう!
2019年には実写映画化も
「屍人荘の殺人」は2019年12月に同名の実写映画として公開されました。
超大作だったので、ご存じの方も多いと思います。
キャストは、主人公が神木隆之介さん、その相棒に中村倫也さん、ヒロインに浜辺美波さんという豪華な布陣。
さらに、若手実力派キャストが顔をそろえています。
キャストだけ見ても、相当な意欲作だったことが分かりますね。
ただ、原作小説と映画では一部の設定が異なっているようです。
大まかの設定はそのままなので、どちらから入っても楽しめそうですね。
<ネタバレなし>「屍人荘の殺人」のおすすめポイント
「屍人荘の殺人」の殺人のおすすめポイントをネタバレなしでご紹介します。
ミステリー好きにはたまらない舞台設定
「屍人荘の殺人」は主人公たち3人が人里離れたペンションを訪れるところから始まります。
ミステリー好きなら、もうこの時点で興奮してきますよね。
舞台が「人里離れたペンション」なんて・・・。
もう絶対、殺人事件が起こるに決まっています!
さらに、ある悲劇に襲われ、ペンションはクローズドサークルになってしまいます。
とある事情で外との行き来ができなくなった状態のこと。
ミステリーでよくある状況としては、
- 吹雪の冬山に建つ別荘
- 嵐の中の孤島
- 客船や飛行機など乗り物の中
などがあります。
そんな閉ざされた空間の中で、読者の期待を裏切らず人が次々と殺されていくのです。
クローズドサークルで発生する密室殺人
「屍人荘の殺人」はクローズドサークルが舞台のミステリー小説ですが、その外界との往来が閉ざされた空間の中でさらに密室殺人が発生します。
クローズドサークル×密室殺人。
本格ミステリーが極まった、本格ファンにはたまらない状況です。
そして、もちろん密室殺人の犯人&トリックはしっかり解き明かされていきます。
謎解きは非常に鮮やかなので、読後感はとても爽快でした!
探偵と助手、そして美少女探偵
ミステリーに欠かせない登場人物と言えば探偵ですよね。
「屍人荘の殺人」には、明智恭介・剣崎比留子と探偵が2人も登場します。大盤振る舞いです。
そして、やはり探偵には助手が必要。
理解力がありつつ、読者と同じ目線で事件を目撃する助手は探偵ものミステリーには欠かせませんよね。
「屍人荘の殺人」でもそのセオリーは崩さず、明智恭介の助手・葉村譲が語り手となって物語が進みます。
葉村譲はあくまで一般人として書かれている親しみやすいキャラクターです。
明智恭介は、あの名探偵・明智小五郎をモチーフにしていることは名前からして明らかです。
いかにも古くさいキザな探偵キャラという、ミステリー好きなら嫌いになれないキャラクターです。
そして、美少女探偵・剣崎比留子はクールビューティーな麗しいキャラクター。
小説に出てくる誰よりも冷静沈着でカッコいい女性でもあります。
基本この3人で物語が進み、あとは事件の関係者となります。
↓以下、ネタバレ全開でお届けしますので、未読の方は飛ばしてください。↓
画像はネタバレを極力回避するためのクッションなので、気にしないでください。
<ネタバレあり>実は○○ものでもある「屍人荘の殺人」
さっそくネタバレをしますが、この「屍人荘の殺人」にはゾンビが出てきます。
まさかのゾンビです。嘘じゃありません。
タイトルの「屍人」はゾンビを指していたのですね。
科学的なミステリーと超常現象を組み合わせたミステリーはいろいろありますが、ゾンビはたぶんこれまでになかったと思います。(私見です)
物語中盤でペンションはゾンビに囲まれてしまいます。
そのため、外界との往来が不可能になり、通信も遮断されてしまうのですね。
また、ゾンビが囲むクローズドサークルは一歩外に出るとゾンビの餌食で一巻の終わり。
内には殺人犯、外にはゾンビの群れという圧倒的な危機的状況に主人公たちは置かれるのです。
わたしがこれまでに読んだミステリー作品の中で、おそらく最もハードな環境と言えるでしょう。
しかし、そのハードさの中でも、華麗なトリックや謎解きが楽しめる「屍人荘の殺人」は桁違いに面白かったです!
素直に驚いた点
「屍人荘の殺人」でビックリした点は、ほぼ主人公だった明智恭介が開始早々ゾンビに襲われて死んでしまったことです。
映画版ではこの明智恭介を中村倫也さんが演じていると知っていたので、
「何という中村倫也の贅沢な使い方!」
と二重で感心してしまいました。
中村倫也さんのゾンビ姿をその目に焼き付けたい方は、映画版「屍人荘の殺人」を観ましょう!
花緒の感想
「屍人荘の殺人」」はまさに異色の本格ミステリーといった小説でした。
読んでいる間はずっと、ひたすらに面白かったです!
こんなにも胸が躍ったミステリーに出会えて幸せでした。
さらに嬉しいことに、この「屍人荘の殺人」には続編があります!
物語がまだまだ続きそうなので、楽しく続刊を待ちましょう♪
続刊、シリーズ2作目「魔眼の匣の殺人」の記事はこちら↓