「本と鍵の季節」米澤穂信 男子高校生コンビが謎を解決していく青春ミステリー

本と鍵の季節イメージ米澤穂信 小説
Susanne Jutzeler, Schweiz,によるPixabayからの画像

米澤穂信さんの小説「本と鍵の季節」の感想です。

たまたま同じ図書委員になっただけの男子高校生2人が、持ち込まれたり遭遇したりした謎を解決していく学園ミステリーです。

青春らしい爽やかさがある一方、切なくビターな結末になることも。

6編の連作短編が収録された、満足な1冊でした。

「本と鍵の季節」基本情報
  • 作者:米澤穂信
  • 対象:中学生~
    • エログロ描写なし
  • 2018年12月に集英社より刊行
  • 2021年6月に文庫化
  • 続編「栞と嘘の季節」が2022年11月に刊行
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「本と鍵の季節」について

「本と鍵の季節」は米澤穂信さんのミステリー小説です。

米澤穂信さんの代表作「<古典部>シリーズ」を彷彿とさせる、高校生を主人公とした学園ミステリーとなっています。

そんな「本と鍵の季節」あらすじを掲載します。

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!

本と鍵の季節―Amazon.co.jp

主人公は、高校で図書委員を務める高校2年生の男子2人。

小説の語り手である堀川次郎と、その相棒・松倉詩門のコンビが持ち込まれる謎を解決していくストーリーです。

魅力は、ただ『たまたま同じ図書委員として活動することになっただけ』という2人の絶妙な関係性。

別に仲が良いわけではなく、しかし何かと気が合う2人。

どちらもクールで今時の高校生らしいのも親近感が湧きます。

しかし、爽やかな青春ミステリー、と言いたいところですが、内容はけっこう苦々しいものが多め。

あらすじ↑に『ほんのりビター』とありますが、なかなかのビターさを覚悟しておいた方が良いでしょう。

ただし、人が亡くなる系のミステリーではないので、グロテスクな描写が苦手な方でも安心して読めるミステリーと言えるでしょう。

続編「栞と嘘の季節」

「本と鍵の季節」には続編となる「栞と嘘の季節」が刊行されます。

「栞と嘘の季節」は2022年11月4日に刊行予定です。

「本と鍵の季節」のあらすじ・感想

「本と鍵の季節」は、タイトルにもある『本』と『鍵』のいずれかor両方が登場する連作短編が6編収録されています。

そんな「本と鍵の季節」に収録された短編の簡単なネタバレなしあらすじと感想です。

913

少し憧れている女子の先輩から『亡くなった祖父が遺した金庫の中身が知りたいから、鍵を開けて欲しい』と依頼された堀川・松倉のコンビ。

家に案内され金庫の解錠を試みる中で、2人はある違和感に気づきます。

その家の違和感の正体、また金庫の中身は何だったのか?

意外な展開となかなか苦々しい結末のお話です。

連作短編の冒頭に掲載されているので、挨拶代わりの1編でしょうが「この小説にはこんな短編が載っているぞ!」という挑戦状のような話でもありました。

タイトル『913』が何を表すのか知っていると、読者にも事件解決の糸道が見えてくるかもしれません。

本と金庫の鍵がテーマの暗号謎解きです。

ロックオンロッカー

お友だち紹介キャンペーンの割引に惹かれ、連れ立って美容院を訪れた堀川・松倉のコンビ。

常連である堀川は、いざ入店した美容院で店長の接客に違和感を覚えます。

松倉に違和感を伝えようするとなぜか口止めされ、そのまま2人は美容院を後にします。

しかし、松倉は少し様子を見ていようと堀川を誘い、2人は外から美容院を観察することに。

そして2人は美容院で起きた『ある出来事の傍観者』となります。

タイトル『ロックオンロッカー』が示すとおり、鍵がテーマの話でした。

金曜日に彼は何をしたのか

兄がテストの問題を盗んだと疑われている、と後輩から相談を受けた堀川・松倉のコンビ。

その疑惑を晴らすため、後輩が暮らす家で兄が無実の証拠を探すことになります。

兄の所持品から浮かび上がった意外な真実とは?

また、真実の先にあった、これまた意外な結末にも注目です。

探偵、というより警察の捜査のようなミステリーで、本がキーアイテムの1つとして使われます。

ない本

自殺したクラスメイトが図書室で借りた本に遺書を隠した。その本を見つけ出して欲しい。

先輩からそんな依頼を受け、堀川・松倉のコンビが知恵を巡らせていきます。

先輩の証言を元に遺書を隠したであろう本を絞り込んでいく2人。

けれども、遺書探しは思いも寄らぬ展開を生みます。

図書室にある2万冊以上の中から遺書を探し出す、という途方もない難題。

ミステリー小説としてはややロマンがありますが、この話の結末はこの上なくビターです。

昔話を聞かせておくれよ

松倉から唐突に「昔話をしよう」と持ちかけられた堀川。

堀川が自身の昔話を披露した後、松倉も昔話を披露します。

その松倉の昔話『ある自営業者が遺した隠し財産』を探すため、2人は夜の街へ繰り出します。

リアリティのある宝探しの結末とは?

友よ知るなかれ

このすぐ前に収録されている『昔話を聞かせておくれよ』の続きとなるお話です。

『昔話を聞かせておくれよ』で宝の場所を示す鍵と本を発見した堀川・松倉のコンビ。

これで万事解決!宝探しは終了・・・。

と思いきや、堀川はその宝探しの先にあった『ある真実』を見抜いてしまいます。

堀川と松倉、5つの短編を通じて培った名コンビの行方とは?

切なさと爽やかさを感じさせつつ、やはり苦めのストーリーでした。


高校生コンビがさまざまな種類の謎を解決していく探偵ものとしても楽しめる1冊です。

日常に潜む謎と、謎を解き明かす快感、しかしほろ苦い結末が味わえ大満足です。

ここまで米澤穂信さんのミステリー小説「本と鍵の季節」の感想でした。

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