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「栞と嘘の季節」米澤穂信 青春ミステリーシリーズ2作目!学校で起きた毒殺未遂事件の真相とは?

栞と嘘の季節 栞 ブックマーク bookmark 米澤穂信 小説
Ylanite KoppensによるPixabayからの画像

米澤穂信さんのミステリー小説「栞と嘘の季節」の感想です。

前作「本と鍵の季節」に続くシリーズ2作目。

高校生コンビの堀川・松倉が、学校内で起きた中毒事件の解決に挑みます。

冒頭から散りばめられた伏線の鮮やかさを堪能できる、爽やかでドライな青春ミステリーです。

「栞と嘘の季節」基本情報
  • 作者:米澤穂信
  • 対象:中学生~
    • エログロ描写なし
  • 2022年11月に集英社より刊行
  • シリーズ2作目
    • 1作目は「本と鍵の季節」

「栞と嘘の季節」について

「栞と嘘の季節」は米澤穂信さんのミステリー小説です。

2018年に刊行(2021年に文庫化)された「本と鍵の季節」の続編で、シリーズとしては2作目となります。

高校2年生の堀川次郎と松倉詩門の名コンビが学校で起きた事件の解決に挑みます。

まずは、そんな「栞と嘘の季節」のあらすじを掲載します。

ベストセラー『本と鍵の季節』(図書委員シリーズ)待望の続編!
直木賞受賞第一作

猛毒の栞をめぐる、幾重もの嘘。

高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。
ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。
小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。
持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見する。
そして、ついに男性教師が中毒で救急搬送されてしまった。
誰が教師を殺そうとしたのか。次は誰が狙われるのか……。
「その栞は自分のものだ」と嘘をついて近づいてきた同学年の女子・瀬野とともに、ふたりは真相を追う。
直木賞受賞第一作は、著者の原点とも言える青春ミステリ長編!

―Amazon.co.jp

ストーリーは前作「本と鍵の季節」から2カ月後、高校2年生の2月。

前作でいろいろあった堀川と松倉の2人。

小説は、図書委員の仕事をさぼっていた松倉が2カ月ぶりに顔を見せる直前、女子生徒が返却箱に本を置いたところから始まります。

真面目な図書委員である堀川は返却された本に挟まれているものがないかチェック。

すると、その本にはキレイな紫色の押し花が使われた栞が挟まっていました。

押し花の栞。

実はわたしも昔、手作りした押し花の栞を使っていたので親近感がわきます。

しかし、その栞に使われていた花は猛毒として知られる『トリカブト』でした。

そのトリカブトの押し花が使われた栞の発見は、学校内を揺るがす大きな事件の幕開けでした。

前作「本と鍵の季節」に続く2作目

「栞と嘘の季節」はシリーズとしては2作目。

1作目である前作「本と鍵の季節」の感想は↓

「本と鍵の季節」は6つの短編からなる連作短編集。

一方、この続編「栞と嘘の季節」は全4章からなる長編です。

1作目「本と鍵の季節」を未読でも、2作目「栞と嘘の季節」は読めます。

しかし、登場人物の関係性などをしっかり把握するために「本と鍵の季節」を読んでから「栞と嘘の季節」を読み始める方がオススメです。

小説の鍵を握る『トリカブト』について

「栞と嘘の季節」において鍵を握るのが『トリカブト』。

トリカブト 栞と嘘の季節 米澤穂信 イメージ
Wolfgang ClaussenによるPixabayからの画像

画像を見る限り、とてもかわいらしい花ですが、猛毒です。

Wikipediaの『トリカブト』ページに書かれていることをまとめてみると、

  • 日本三大有毒植物の1つ
  • 日本には約30種が自生し、紫色の他にも白・ピンク・黄色などの種類がある
  • 全草に毒性がある
  • 特に毒性が強いのは根(塊根)
  • 症状は嘔吐・呼吸困難・臓器不全、重いと心室細動や心停止に至る
  • 致死量は0.2~1g
  • 毒には即効性があり、大量に摂取すると数十秒で死に至る
  • 皮膚や粘膜からも毒性が吸収されるので花粉・蜜に触るのも危険

ということでした。

1g以下で死に至るという、非常に強い毒ですね・・・。

一番恐ろしいのが、このトリカブトは日本のあちこちに普通に自生していること。

知らずに触ってしまったら、と考えただけでも恐ろしいですね。

普通に生えているからこそ「栞と嘘の季節」の鍵となるトリカブト。

くれぐれも毒として使用してはいけません。

「栞と嘘の季節」感想・あらすじ

「栞と嘘の季節」のネタバレなし感想・あらすじです。

人が死なないミステリー

ミステリー小説である「栞と嘘の季節」ですが、事件で人は亡くなりません。

そのため、人が死ぬ話は苦手・・・、という方にもオススメしやすいのが特徴です。

ただし、未遂ですが、最悪人は亡くなる程度の事件は起こります。

また、事件に用いる手段も毒なのでグロテスクな描写はなく、安心して読むことができます。

閉鎖的な学校の空気感

「栞と嘘の季節」の舞台は公立高校。

主人公の堀川・松倉コンビは高校で起きた毒殺未遂事件を解決するため奔走します。

前作「本と鍵の季節」は学校外での事件が多かったので、学校が舞台となるこの「栞と嘘の季節」はまた独特な雰囲気でした。

学校特有の閉鎖的・閉塞的で息が詰まりそう。

そんな空気感が文章を読むだけで味わえるのも、この「栞と嘘の季節」の魅力?と言えます。

ヒロインとの共闘

「栞と嘘の季節」には、トリカブトの押し花が使われた栞の秘密を知る女子生徒・瀬野というヒロインが登場します。

理由は違うものの、堀川・松倉コンビと目的が一致している瀬野。

そんな瀬野との共闘は、この「栞と嘘の季節」の面白さの1つでした。

ただ、瀬野には瀬野の思惑があり、堀川・松倉コンビはそんな瀬野の嘘に振り回され、しかし暴きつつ真相を探っていきます。

抜きん出て美しい容姿を持つ瀬野。

美しさを持ち、頭脳も明晰、探偵を翻弄するヒロインとして完璧な存在です。

また、この「栞と嘘の季節」は瀬野の物語でもあるので、とにかく魅力的に描かれていました。

そんな彼女が選んだ結末は美しく圧巻でした。

もしシリーズに3作目がある場合は、ぜひとも瀬野の再登場を願うばかりです。


爽やかな学園ミステリーですが、学校の重苦しい空気感も相まってビターさが強い小説でもあります。

毒殺未遂事件、というテーマも重々しいですが、それでも読みやすいのは、全体的にドライだからかもしれません。

堀川と松倉、2人の絶妙な関係性は今作も健在です!

ここまで「栞と嘘の季節」の感想でした。

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