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「マツリカ・マハリタ」相沢沙呼 シリーズ2作目、爽やかでコケティッシュな学園ミステリー

マツリカ・マハリタ 相沢沙呼さんのミステリー フィルムカメラ イメージ 小説

相沢沙呼さんのミステリー小説「マツリカ・マハリタ」の感想です。

青春ミステリー『マツリカ』シリーズの2作目。

男子高校生と謎めいた美少女が学校で起きた不思議な事件を解決していきます。

「マツリカ・マハリタ」基本情報
  • 作者:相沢沙呼
  • 対象:中学生~
    • 性的な描写ややあり
    • グロテスクな描写なし
  • 2013年8月に角川書店より刊行
    • 2016年8月に文庫化
  • 『マツリカ』シリーズ2作目

「マツリカ・マハリタ」について

「マツリカ・マハリタ」は相沢沙呼さんの学園ミステリー小説です。

小説は4章からなる連作短編集。

廃墟ビルから高校を除くのが趣味のマツリカと、その下僕である男子高校生・柴山祐希。

そんな2人が学校で起きた事件を解決していく学園ミステリー小説となります。

まずは、そんな「マツリカ・マハリタ」のあらすじを掲載します。

柴山祐希、高校2年生。学校の向かいにある廃墟ビルに住み、望遠鏡で校舎を観察している美少女・マツリカに命じられて、学校の怪談を調べている。

新学期、クラスになじめない柴山の下に、1年生の時に自殺した少女の霊が、ときどき校内に現れるという情報が舞い込んできた。その真実を突き止めるため、捜査を開始したが、調べていくうちに…!?他人と関わる事で、嫌いだった自分も、変わることができるはず。青春ミステリ。

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「マツリカ・マハリタ」は、高校で起きた不可解な出来事を探偵役・マツリカが助手役・柴山とともに解決していくミステリーです。

扱うものは殺人など仰々しい事件ではなく、日常の謎。

章ごとの謎を簡単にまとめると

  1. 写真部の新入部員は幽霊だったのか?
  2. 全感光した写真フィルムの謎
  3. クラスメイトの友人は幽霊?
  4. マツリカの正体とは?

みたいな感じになります。

幽霊系が多いですが、超科学や心霊系のミステリーではありません。

どの謎もしっかり解決されていきます。

『マツリカ』シリーズ2作目

「マツリカ・マハリタ」は相沢沙呼さんが手がける『マツリカ』シリーズの2作目。

『マツリカ』シリーズは全3作。

1作目「マツリカ・マジョルカ」と3作目「マツリカ・マトリョシカ」に挟まれたシリーズ2作目となります。

「マツリカ・マジョルカ」では高校1年生だった柴山祐希は、今作「マツリカ・マハリタ」では高校2年生に進級。

季節は春~初夏までと、高校1年生の1年間を描いた「マツリカ・マジョルカ」と比べ短い期間となりました。

前作・シリーズ1作目「マツリカ・マジョルカ」の感想

タイトル『マハリタ』の意味とは?

インパクトのあるタイトル「マツリカ・マハリタ」。

前半部分の『マツリカ』は「マツリカ・マジョルカ」でもご紹介しましたが『茉莉花』、つまりジャスミンという意味があります。

また、この小説シリーズの主人公・マツリカの名前でもありますね。

そして、問題なのが後半『マハリタ』の部分。

調べても、ちゃんとした意味がありませんでした。

ただ、この『マハリタ』は、アニメ「魔法使いサリー」のオープニングテーマに登場する呪文の一部として有名です。

わたしは世代じゃないので薄らとしか分かりません・・・。

しかし、調べたところ「魔法使いサリーのテーマ」という曲の『マハリクマハリタヤンバラヤンヤンヤン』という歌詞の一部のようです。

見づらいので区切ると『マハリク マハリタ ヤンバラヤンヤンヤン』。

この『マハリク マハリタ ヤンバラヤンヤンヤン』には特に意味はないようです。

「マツリカ・マハリタ」感想・あらすじ

「マツリカ・マハリタ」のネタバレなし感想・あらすじです。

フィルムカメラの比重が大きい

「マツリカ・マハリタ」はカメラや写真に関するミステリーが多い傾向の小説でした。

特に、全体を通して比重が大きいのがフィルムカメラ。

フィルムを使ったカメラは、わたしが幼い頃ならたまに見かけましたが、デジカメが主流の今ではほとんど目にしません。

この「マツリカ・マハリタ」が刊行したのは2013年ですが、この当時でもほとんど使われなくなっていたと思います。

しかし、そんなフィルムカメラを愛する人たちが多いのも事実。

おそらく相沢沙呼さんもカメラが好きなのだろうと思うほど、カメラの描写・説明が綿密でした。

カメラのフィルムが全感光してしまった事件などカメラ好きなら分かる?かもしれない謎解きもあり、どこまでもカメラ愛にあふれていました。

青春の危うさ

青春ものはなぜこんなにも切なさを帯びるのか。

青春ものでありながらミステリー小説でもある「マツリカ・マハリタ」ですが、やはり青春の切なさが全体を通して色濃く出ている小説でもあります。

自殺した女子生徒の幽霊や新入部員の幽霊、そしてマツリカさんの正体など。

この「マツリカ・マハリタ」は幽霊に関する話題が多いのも特徴ですが、青春と幽霊の組み合わせは、どこか死に近い10代の不安定さが感じられました。

外階段の手摺り壁を越えたら死ぬのは簡単。

そんな描写がありますが、弾けるような生命力を持ちつつ、その対極にある死に引きつけられる。

その10代の高校生の危うさは、どの大人も通り過ぎた経験があるはずです。

この「マツリカ・マハリタ」の語り手である柴山祐希は、姉を自殺で失い、その衝撃からまだ立ち直れていない少年です。

死に近い柴山は、生を感じさせないものの逆に死からほど遠いマツリカに出会い少しずつ変わりました。

前作「マツリカ・マジョルカ」から「マツリカ・マハリタ」まで続くその変化の行方にも注目です。

いじらしい柴山

「マツリカ・マハリタ」の魅力の1つとも言えるのが柴山祐希のいじらしさ。

なんとも弱々しく、どこまでも健気です。

前作以上に下僕化が進行した柴山ですが、自力で推理を導く章もあるなど、大きな成長も見せています。

ただし、心はやはり男子高校生なので、よからぬ妄想もしがちですが。

次作である3作目「マツリカ・マトリョシカ」ではもっと成長した姿が見られるのか?

ちょっと気になります。


前作「マツリカ・マジョルカ」のネタバレもあるので、まずは「マツリカ・マジョルカ」から読み、続いて「マツリカ・マハリタ」を読むのがオススメです。

ライトノベルのような感覚でサクサク読める学園ミステリー小説、ここまで「マツリカ・マハリタ」の感想でした。

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