「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」青柳碧人 『探偵』が活躍するシリーズ第3弾!

竹林 竹 小説
pisauikanによるPixabayからの画像

青柳碧人さんのミステリー小説「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」の感想です。

『昔話×本格ミステリー』シリーズの第3弾となった本作。

のどかな昔話の世界とミスマッチな殺人事件を探偵たちが解決していきます。

「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」基本情報
  • 作者:青柳碧人
  • 対象:中学生~
    • グロテスクな描写あり
    • 性的な描写はなし
  • 2021年10月に双葉社より刊行
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「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」について

「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」は青柳碧人さんのミステリー小説です。

同作は青柳碧人さんが手がける『昔話パロディミステリー』の第3弾。

前2作に引き続き、昔話の世界で血なまぐさい殺人事件が起こっていきます。

まずは、そんな「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」のあらすじを掲載します。

日本昔ばなし×本格ミステリふたたび!

2019年4月に刊行されるやいなや瞬く間にベストセラーとなった『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の続編が誕生。今回収録されたのは、「かぐや姫」「おむすびころころ」「わらしべ長者」「さるかに合戦」「ぶんぶく茶釜」の5編。
果たしてこれらの昔ばなしがどんなミステリになったのか。
各作品を通してのテーマが隠されており、それぞれのつながりも楽しい短編集です。

むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。―Amazon.co.jp

「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」でモチーフとなった昔話は

  1. かぐや姫
  2. おむすびころりん
  3. わらしべ長者
  4. さるかに合戦
  5. ぶんぶく茶釜

という5つのお話。

わたしはいずれも幼い頃から親しんでいたお話たちですが、前2作と比べるとややマイナーかもしれません。

しかし、元のお話を知らなくても十分楽しめると思います。

忘れていても読んでいればどんな話だったのか思い出せると思いますのでご安心ください。

「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」の前2作について

「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」は『昔話パロディ×ミステリー』のシリーズ3作目に当たります。

※日本の昔話シリーズに限れば2作目です。

1作目は「むかしむかしあるところに、死体がありました。」。

こちらでは一寸法師・花咲かじいさん・鶴の恩返し・浦島太郎・桃太郎がモチーフとなったミステリー5編が収録されています。

日本の昔話のうち、有名どころを集めています。

つづいて2作目は「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」。

西洋童話の世界を舞台に、ヒロインの赤ずきんちゃんがシンデレラ・ヘンゼルとグレーテル・眠れる森の美女・マッチ売りの少女といった童話のキャラクターたちと夢の共演。

それぞれの童話の世界で起きた事件を赤ずきんちゃんが華麗に解決していく、というストーリーです。

西洋童話の華やかな世界で起きる殺人事件は読み応えがあります。

『探偵』ミステリーに特化

「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」は探偵に特化したミステリー小説です。

どの話にも、それぞれ別の存在ですが、探偵役が登場します。

しかも!正体が伏せられた探偵や安楽椅子探偵など、それぞれで探偵のジャンルが違うのも魅力の1つ!

「探偵もののミステリーを1冊で複数ジャンル読みたい」

という奇特な方にはうってつけの小説と言えます。

「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」各話の感想・あらすじ

「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」に収録された各話の感想・あらすじです。

すべてネタバレなしなので、安心してお読みください。

竹取探偵物語(かぐや姫)

途中まで普通の「かぐや姫」としてストーリーが進行していくこの『竹取探偵物語』。

※全然関係ないですが『竹取探偵物語』というタイトルの語呂が良いですよね。

ただ、この『竹取探偵物語』でかぐや姫を見つけるのはおじいさんではなく、独り身の男性。

友人とともに幼いかぐや姫を育て、竹から得た莫大な小判により屋敷を新調。

裕福な暮らしを送れるようになりましたが、かぐや姫の美しさを聞きつけ5人の若者が結婚を申し込みに来ます。

結婚したくないかぐや姫は5人にそれぞれ存在するはずもない宝物を期日までに持ってくる、という無理難題を突きつけます。

「かぐや姫」の物語通りですが、やはりかぐや姫は辛辣です。

期日が迫ったある日、かぐや姫を育てた男性の友人の屋敷の屋敷が火事になり、その中で友人が殺害された状態で発見されます。

男性とともにかぐや姫の結婚に難色を示していた友人。

殺害したのは結婚を申し込んだ5人の若者のうちの誰かだと見当をつき、親代わりの男性はかぐや姫とともに犯人捜しを行うことに。

意外な結末と、後に続く4編に通じる『探偵』というテーマを打ち出すお話です。

殺害された友人がひたすらに不憫で、後味が良くないミステリーでもあります。

七回目のおむすびころりん(おむすびころりん)

いわゆるタイムリープものとなった「おむすびころりん」です。

ネズミの穴におむすびを落としてしまったおじいさんが、お礼としてネズミたちの宝の袋をもらいます。

それを聞きつけた意地悪じいさんも同じことをして宝の袋をゲットしようと企むのですが・・・。

マンガやライトノベルでは人気の設定であるタイムリープを昔話「おむすびころりん」に採用。

死に戻りなど、大抵が過酷な展開となるタイムリープもの。

※死に戻りとは、死ぬことで強制的にセーブポイント(所定の時間)に引き戻される現象のこと。

この『七回目のおむすびころりん』も意地悪じいさんが可哀想になるほど過酷な展開となっていきます。

意地悪じいさんがおむすびを転がした穴の中ではネズミのネズミによる殺人事件が発生。

宝の袋をもらうことを条件に意地悪じいさんは探偵役を買って出ます。

時を繰り返すごとに徐々に事件の全貌は見えてきますが、すんでの所で解決がすり抜けていくのはお約束です。

六度も時を超えた意地悪じいさんは、はたして宝の袋を手に入れられるのでしょうか?

細部にまで伏線が張り巡らされた、SFミステリーでした。

わらしべ多重殺人(わらしべ長者)

1本のわらしべから長者となった男のサクセスストーリーを描く「わらしべ長者」。

そんな「わらしべ長者」を下敷きにした『わらしべ多重殺人』は、2部構成で事件発生時と発覚後を描いています。

1人の男性がそれぞれ別の人間から1回ずつ殺害されます。

不憫としか言い様がないですが、なぜ男性は毎回致命傷を受けながらそのたびに生き返り、また再び殺されることになったのか。

わらしべ長者と名高い男性の屋敷を訪ねた村役人が自らの推理を披露していきます。

ファンタジー要素を取り入れつつ、しっかりとミステリーに落とし込んでいるのが特徴。

また、些細な伏線が一気に回収される結末も圧巻でした。

さらに小説ならではのトリックが使われているのもポイントです。

真相・猿蟹合戦(さるかに合戦)

殺されたカニの敵討ちをすべく、カニの息子が栗・蜂・牛糞・臼といった仲間たちと下手人・猿をこらしめる。

そんな「さるかに合戦」を猿同士の敵討ちとしてミステリーにしたのが『真相・猿蟹合戦』です。

「さるかに合戦」により殺された父親の敵討ちをしたい。

殺された猿の息子に話を持ちかけられたのは「かちかち山」の話通り、うさぎに兄狸を殺されたたぬきでした。

父猿と兄狸、それぞれの敵討ちをしたい2匹。

猿の息子は弟狸に交換殺人を持ちかけます。

猿の息子が兄狸の敵を討ち、反対に弟狸が父猿の敵を討つということです。

信用に足る狸か見極めるため、猿の息子は弟狸に「さるかに合戦」の真相を聞かせ、殺したい相手を当てるよう指示。

弟狸は交換殺人を為すべく、猿の息子が殺したい相手を推理していきます。

いわゆる「犯人当てクイズ」の形式で安楽椅子探偵が活躍する、というストーリー。

当てるのは犯人ではありませんが、勝手に思い込んでいたことが白から黒へ、オセロがひっくり返るように変わっていきました。

まんまと騙されましたが、この『真相・猿蟹合戦』の交換殺人の結果は次の章へと続きます。

猿六とぶんぶく交換殺人(ぶんぶく茶釜)

『真相・猿蟹合戦』で実行が決まった交換殺人が行われ、その犯人を探します。

猿の屋敷で起きた不可能犯罪。

たまたま屋敷に滞在していた2匹の客人(猿)が探偵として犯人を追い詰めます。

と言っても、犯人は『真相・猿蟹合戦』でタッグを組んだ2匹のはずですよね。

しかし、2匹以外にも被害者(猿)を殺そうとした存在がいると判明し、謎が深まっていくのです。

一見、不可能な密室の状況で起きた殺人事件。しかし狸の化け術なら可能。

被害者に恨みを持つ存在は、犯行可能時刻に完璧なアリバイがある。

けれども交換殺人により、タッグを組んだもう1匹が殺したはず・・・。

謎が1つ解決されるたびまた新たな謎が出てきますが、探偵役である猿の猿六が見事な推理で解決に導きます。

それでも最後にまた1つひねりがあるのが憎いところです。


各短編はそれぞれ独立しているものの、全て同じ世界の話でつながっている、という演出は好きです。

なんてことのないセリフが伏線だったりするので、細かいところまで読みこぼしができないのも魅力。

また、昔話の世界に殺人事件を持ち込む、というのは一見物騒ですが、昔話そのものも意外と物騒だということを再確認できました。

昔話ならではのトリックが満載の「むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。」の感想でした。

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