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「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」青柳碧人 探偵・赤ずきん第2弾『ピノキオ』の助手とともに難事件に立ち向かう!

赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。 イメージ ピノキオ 木偶人形 小説
jacqueline macouによるPixabayからの画像

青柳碧人さんの小説「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」の感想です。

赤ずきんが探偵となり事件を解決する「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」の待望の続編!

ひょんなことからピノキオを拾った赤ずきんの謎解き道中が描かれます。

「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」基本情報
  • 作者:青柳碧人
  • 対象:中学生~
    • 性的な描写なし
    • グロテスクな描写あり
  • 2022年10月に双葉社より刊行
  • 昔話ミステリー『赤ずきん』シリーズ2作目

「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」について

「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」は青柳碧人さんのミステリー小説です。

同作は全4編、幕間1編の連作短編にて構成。

衝撃の前作「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」に引き続き、名探偵・赤ずきんちゃんが活躍します。

おとぎ話と本格ミステリーの融合。

まずは、そんな「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」のあらすじを掲載します。

前作『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』でミステリー界に衝撃のデビューを果たした赤ずきんに相棒ができました。
その名はピノキオ! とある目的があって一緒に旅をするのですが、ゆく先々でまたもや事件が発生します。
『白雪姫』『ハーメルンの笛吹き男』『三匹の子豚』……。
世界のみんなが知っている童話をベースにした連作本格ミステリ第二弾。
今作も、あの決め台詞が炸裂します。

赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。―Amazon.co.jp

この「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」の特徴は、タイトルにも登場する「ピノキオ」が仲間入りするところ。

探偵として相変わらずキレのある推理を披露する赤ずきんの助手として、ピノキオが大活躍?します。

杜撰な犯行をけして見逃さない、赤ずきんに注目です。

「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」の題材となったおとぎ話

「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」の題材となったおとぎ話について軽く解説していきます。

第一幕 目撃者は木偶の坊(でくのぼう)

『第一幕 目撃者は木偶の坊(でくのぼう)』の題材は「ピノキオ」。

おじいさんに作られた木の人形が冒険する、という有名なおとぎ話ですね。

ディズニーアニメーションの「ピノキオ」が最も有名でしょうか。

劇中歌の「星に願いを」はアニメを観たことがない方でも一度は聞いたことがあるでしょう。

この「ピノキオ」はイタリアの作家カルロ・コッローディによる児童文学で、正式には「ピノッキオの冒険(Le avventure di Pinocchio)」というタイトルです。

ディズニー版とは違う部分もいくつかあり、何より小説はけっこう残酷な描写も辞さない社会風刺的な色が強いとのこと。

『第一幕 目撃者は木偶の坊』でのピノキオのキャラクターはほぼ原作のイメージ通り。

騙されやすく単純で、楽しいことが大好き。

赤ずきんの捜査を善意で引っかき回します。


また、この第一幕にはおとぎ話として「親指姫」も登場します。

「親指姫」はデンマークの作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの児童文学です。

アンデルセンと言えば「人魚姫」や「マッチ売りの少女」なども執筆している有名な童話作家ですね。

チューリップの花から生まれた親指ほどの大きさの親指姫。

そんな親指姫の数奇な運命を描く、何とも不思議な童話です。

この親指姫がどのような形で登場するのかも第一幕の見所かもしれません。

第二幕 女たちの毒リンゴ

『第二幕 女たちの毒リンゴ』の題材は「白雪姫」です。

鏡よ鏡世界で一番美しいのは・・・、の「白雪姫」。

そんな「白雪姫」は元々ドイツの民話として語り継がれ、それをグリム兄弟がまとめ童話にしたものになります。

「白雪姫」もディズニーアニメーションのものが有名ですね。

グリム童話のあらすじは概ねディズニー版と同じ。

しかし、やはりグリム童話の方が悪役=王妃の顛末が残酷という特徴があります。

『第二幕 女たちの毒リンゴ』では、白雪姫と王妃、そして七人のこびとが登場。

意外な悪役と展開に注目です。

第三幕 ハーメルンの最終審判

『第三幕 ハーメルンの最終審判』の題材は「ハーメルンの笛吹き男」と「ブレーメンの音楽隊」の2作。

まず「ハーメルンの笛吹き男」は実際にあった事件を元に、グリム兄弟がおとぎ話としてまとめた話です。

事件が起きたのは1284年6月26日、ドイツ・ハーメルン。

鼠の大繁殖により困っていたハーメルンを笛吹き男が訪れ、報酬と引き換えに鼠を駆除すると持ちかけます。

ハーメルンの住人は藁にもすがる思いで依頼、すると笛吹き男は持っていた笛ですぐに鼠を駆除しました。

鼠は駆除されたものの、約束の報酬を出し渋る住人たち。

約束を破った住人たちに起こった笛吹き男は、報酬の代わりとして、ハーメルンに住む子どもたちを笛で操り町の外へ連れ出します。

操られた子どもたちは二度と戻っては来ませんでした・・・。

というのが簡単なあらすじですが、完全なるホラーですよね。

この日、子どもたちは本当にいなくなってしまったようです。

ただし、実際は笛吹き男が攫った訳ではなく、疫病や移住、児童売春などさまざまな説が提唱されています。

この「ハーメルンの笛吹き男」の詳しいストーリーは『第三幕 ハーメルンの最終審判』の冒頭でも紹介されています。


また同じく題材となっている「ブレーメンの音楽隊」は、グリム兄弟がまとめた童話です。

人間から捨てられたロバ・犬・猫・ニワトリが音楽隊になるためブレーメンを目指す、というストーリーですね。

ちなみに、ブレーメンはハーメルンと同じドイツにあり、地理的にも離れていません。

『第三幕 ハーメルンの最終審判』ではハーメルンの住人がブレーメンに憧れている、といった描写がありますが、実際、中世のブレーメンはとても栄えた商業都市だったようです。

「ハーメルンの笛吹き男」と「ブレーメンの音楽隊」に共通するのは音楽。

『第三幕 ハーメルンの最終審判』では、やや不気味ながら愉快な音楽の町が描かれていました。

幕間 ティモシーまちかど人形劇&第四幕 なかよし子豚の三つの密室

『幕間 ティモシーまちかど人形劇』と『第四幕 なかよし子豚の三つの密室』の題材となったのは「三匹の子豚」。

元々は民話として語り継がれていたおとぎ話で、話をまとめ童話にした人物は不明です。

三匹の子豚の兄弟が、それぞれ藁・木の枝・レンガで家を作り独り立ち。

そこへ腹ぺこオオカミがやってきて、藁と木の枝の家を息で吹き飛ばしてしまいます。

兄子豚たちは慌てて弟子豚のレンガの家へ逃げ込み、煙突から侵入してきたオオカミを煮えたぎる鍋に落とし退治する、というストーリーですね。

『幕間 ティモシーまちかど人形劇』では、この「三匹の子豚」のストーリーが、結末を除き、そのまま描かれます。

そして『第四幕 なかよし子豚の三つの密室』ではこの「三匹の子豚」のその後が描かれます。

シンプルにこんな「三匹の子豚」は嫌だ、といった内容です(褒めてます)。

また『第四幕 なかよし子豚の三つの密室』は、第一幕から続くストーリーが全て収束されていくまとめの話。

伏線がスッキリか回収されていくのは読んでいて気持ちよかったです。

「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」感想・あらすじ

「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」の感想・あらすじです。

巻き込まれ型探偵・赤ずきん

漁師のおじさんの家へクッキーとワインを届けに行くため、森を歩いていた赤ずきん。

道の途中でキツネ・三毛猫・黒猫の3匹とすれ違いますが、猫2匹が抱えていた袋から木でできた人形の腕が転がり落ちます。

3匹は腕が落ちたことに気付かず、赤ずきんはその腕を拾ってしまいます。

すると、その腕は腕だけなのに動き出し、文字を書き、残りの身体を取り戻して欲しい、と訴えるのでした。

母親に言われたこともあり、赤ずきんは腕の持ち主・ピノキオの身体を探す旅に出ます。

あっさり善意で巻き込まれる赤ずきん。

そして、当然ですが、行く先々で事件に巻き込まれます。

持ち前の推理力で事件を解決していく赤ずきんは、はたして、ピノキオの身体を取り戻すことができるのでしょうか?

連作で話ごとに舞台が変わる「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」は、探偵もののロードムービー感もあり面白いです。

助手&お助け役が仲間入り

「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」では、助手としてピノキオが仲間入り。

さらに、赤ずきんを何かと助けて協力してくれる、ほら吹き男爵のジル(ジルベルト・フォン・ミュンヒハウゼン)も登場し、物語を盛り上げます。

ちなみに、このほら吹き男爵のジルにもモデルがいて、その人物とはプロイセン貴族のミュンヒハウゼン男爵、実在の人物です。

ミュンヒハウゼン男爵による冒険談をまとめた「ほら吹き男爵の冒険」の人物として有名です。

話し好きだったミュンヒハウゼン男爵は、よく自身のエピソードに脚色を加えて周囲の人に披露していたとのこと。

その様子を見た人が勝手に物語としてまとめたのが「ほら吹き男爵の冒険」。

ただ、この「ほら吹き男爵の冒険」内容はミュンヒハウゼン男爵が語ったものか確かでないものが多く、けっこうあやふやらしいです。

周囲の気を引くために嘘や自傷行為をしてしまう精神疾患「ミュンヒハウゼン症候群」はこのほら吹き男爵から付けられたものです。

話が飛びましたが、このほら吹き男爵・ジルの活躍により赤ずきんは窮地を救われ、事件の解明もサポートしてもらいます。

そんなチームでの事件解決、というのがこの「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」の見所の一つだったかもしれません。


ストーリーの面白さはもちろんですが、やはり肝はおとぎ話なのに本格ミステリーが展開されるところでしょう。

トリックは登場人物の些細な言動や物理的なトリックなど、ミステリーの醍醐味をしっかり味わえる、満足度の高い1冊でした。

また、個人的に気になったのは、魔女の扱い。

作者の青柳碧人さんは、おそらく、魔女が好きなのだろうと思います。

ここまで「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」の感想でした。

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