「傲慢と善良」辻村深月が『婚活』をテーマに描く胸をえぐる恋愛小説

結婚式 幸せな2人 小説

新型コロナで自由に外出しづらくなった昨今。

交際中のカップルが結婚に踏み切ることが増えていると言います。

今回はそんな結婚をするための「婚活」について赤裸々に書かれた辻村深月さんの小説「傲慢と善良」をご紹介します。

傲慢ではあるが、善良でもある。

そんな普通の男女の上手くいかない恋愛模様を描いた作品です。

「傲慢と善良」基本情報
  • 中学生~
    • 性的な描写あり
    • 暴力描写はなし
  • 「婚活」がテーマの恋愛小説
  • サスペンス要素もあり
  • 作者・辻村深月の作家生活15周年記念作品
  • 2019年3月刊行

「傲慢と善良」あらすじ

「傲慢と善良」は婚活で出会った男女を巡る恋愛小説です。

恋愛小説ですが、サスペンス要素もふんだんにあります。

いや、サスペンス要素の方が恋愛よりも強めかもしれません。

とにかく「どうなっちゃうんだろう・・・」と、ハラハラしながら読み進めました。

そんな「傲慢と善良」のあらすじを掲載します。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。
その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。
生きていく痛みと苦しさ。その先にあるはずの幸せ──。
2018年本屋大賞『かがみの孤城』の著者が贈る、圧倒的な”恋愛”小説。

傲慢と善良-Amazon.co.jp

「傲慢と善良」の主人公は坂庭真実と西沢架の2人。

真実と架は結婚式を控えた婚約中のカップルでした。

と書くと、2人は幸せいっぱいに思えますよね。

しかし、真実は数ヶ月前からストーカーに悩まされていました。

そんなある日、真実が忽然と姿を消してしまいます。

架は「真実はストーカーに連れ去られたのでは?」と考えます。

状況的に考えれば当然でしょうか。

けれども警察に相談しても「事件性はない」と判断され、捜査はしてもらえそうにありませんでした。

そこで架は自ら真実の関係者に話を聞き、手がかりを探すことに。

手がかり探しを続けるうちに、架は真実の知られざる過去と向き合うことになります。

「善良」な自分に苦しむ主人公たち

「傲慢と善良」に出てくる人物は、基本的に良い人たちばかりです。

犯罪を犯したり倫理に反したりする行為をする人は出てきません。

端的に言えば、みんな「普通」の人です。

そんな「普通」の人たちしか登場しないのに、どこまでも辛い展開が続きます。

辛い、というか胸がジワジワえぐられると言った方が良いかもしれません。

特に主人公の1人・真実は、

  • 犯罪を犯さず
  • 人を傷つけず
  • 真面目に
  • 誰に対しても優しく

という風に生きてきたとても「善良」な女性です。

そうして善良に生きてきた真実の願いは「普通の幸せを手に入れること」でした。

しかし、その「普通の幸せ」が真実には手に入れられません。

そのもどかしさが痛いほど伝わるのが、読んでいてとても辛かったです。

わたしは真実の考えすべてが当てはまるわけではありませんが、とても近いものを感じました。

だからこそ、真実の感じてきた苦痛が我が身のように感じられてしまいました。

真実の「傲慢さ」は罪なのか

「善良」に生きてきた真実。

この「傲慢と善良」では、真実が幸せになれないのは、真実が持つ「傲慢さ」ゆえと書かれています。

傲慢とは、他人を自分よりも下の存在と見なしてひどい態度を取ること。

劇中で真実は↑の説明のような傲慢な態度を取ることはありません。

けれども、真実は無意識的に他人に対する「傲慢さ」を持っていました。

その「傲慢さ」を持っていたのは架も同じ。

そして、わたしたち読者も同じような「傲慢さ」を持っているのではないでしょうか?

なのでわたしは真実の「傲慢さ」が罪だとは思えませんでした。

悪いことだとは思えないからこそ、読んでいて怖さすら感じました。

「傲慢と善良」では、2人が自分の「傲慢さ」に気付き、向き合ったときに初めて未来が見えます。

Amazonのレビューを見ると、結末には賛否ありますが、わたしは好きです。

結末の舞台から、この「傲慢と善良」は真実と架の関係の破壊と再生を描いたものだったのだと感じます。

ずっと暗いもやのなかをさまよっていた2人に明るい未来が見えた、将来への希望が持てる結末でした。

現代の「婚活」事情とは

「傲慢と善良」は現代に生きる男女の「婚活」をテーマにした小説です。

しかし、わたしはこれまでに婚活経験がなく、興味もなかったため、婚活に対する知識はうっすらとしかありませんでした。

そこで、現代の「婚活」事情を簡単に調べてみました。

「傲慢と善良」と合わせて読むと、理解が深まるかもしれません。

お見合い

お見合いとは、結婚したい男女が第3者の仲介により顔を合わせる慣習のこと。

日本だけでなく、世界中で古くから行われてきた婚活方法ですね。

仲介をする第3者は仲人(なこうど)と呼ばれ、初対面以降も2人の交際をサポートします。

現在ではあまりないかもしれませんが、仲人は結婚後の生活支援もしていたとのことです。

お見合いと聞くと、わたしは朝ドラなど昭和前期あたりの慣習のイメージです。

実際、現在(2010~2014年)結婚している人のうち、お見合いが出会いのきっかけである人の割合は5.5%。

お見合い結婚の割合が1割を下回ったのは1990年代なので、平成以降は廃れつつある慣習と言えるかもしれません。

結婚相談所

結婚相談所とは、結婚したい男女に結婚を前提とした交際の機会を与えるサービス業者のこと。

サービスの利用には会員登録が必要です。

会員登録には安くない費用がかかりますが、その分サポート体制は抜群。

費用が高ければ高いほど手厚いサポートが受けられる、というのが一般的です。

また「結婚したい」男女しかいないので、結婚が成就する確率も高めです。

  • サポート体制
  • 登録者の高い意識

から現代において、本気で婚活に取り組む人に最も適した方法と言えます。

ただし、結婚相談所と言ってもさまざま。

費用やサポート体制の充実度など、自信の婚活に合った相談所を見つけることが重要でしょう。

婚活アプリ

婚活アプリとは、結婚したい男女が結婚相手を探すために登録するアプリのこと。

マッチングアプリとも呼ばれ、プロフィールや条件などから、いつでも好みの相手を探せることが特徴です。

現在、婚活アプリに登録している人は1000万人以上。

結婚した人のうち、婚活アプリを利用したことがある人は2割を超えます。

無料で登録できるアプリも増えているので、気軽に参加しやすいのが特長です。

しかし、気軽に始められる分、身元が怪しい人や遊び目的で登録している人もいるので注意が必要とも言われています。

また、婚活アプリは結婚相手を「探す」ためのもの。

いいな、と思う人がいたら自らアプローチしないと進展しません。

本気で結婚相手を探すなら、サポート体制がしっかりしていそうな有料アプリを使用するのがオススメでしょう。

とここまで現代の「婚活」についてサラッと説明してみました。

婚活に疎いわたしは、調べて書いているだけで目から鱗が落ちるばかりでした・・・。

婚活って、こんなにいろいろあるんですね。

この情報を参考にすると「傲慢と善良」がもっと面白くなるかも?しれません。

花緒の感想

結婚や婚活についてほぼ無知だったわたしにとって、この「傲慢と善良」はとてもセンセーショナルな内容でした。

普通なのに、高望みをしていないのに上手くいかない。

婚活をしている方の中には、そんな思いを抱えている方が少なくないと思います。

「傲慢と善良」は、少し辛辣ながらも婚活中の方たちの背中を押すような小説だと思います。

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