東野圭吾さんの小説「素敵な日本人」の感想です。
日本を舞台とした短編ミステリー9編が収録された短編集です。
ミステリーと一口に言っても、さまざま。
毛色が違う短編を次々と楽しみたい方にオススメしたい一冊です。
- 作者:東野圭吾
- 対象:中学生~
- 性的な描写なし
- ややグロテスクな描写あり
- 2017年4月に光文社より刊行
- 2020年4月に文庫化
「素敵な日本人」について
「素敵な日本人」は東野圭吾さんの小説です。
内容は9編のそれぞれ独立した短編集です。
まずは、そんな「素敵な日本人」のあらすじを掲載します。
一人娘の結婚を案じる父に、娘は雛人形を指差して大丈夫という。そこには亡き妻の秘密が……。(「今夜は一人で雛祭り」)独身女性のエリーが疑似子育て体験用赤ちゃんロボットを借りたところ……。(「レンタルベビー」)世にも珍しい青色の猫。多くの人間が繁殖を目論むが……。(「サファイアの奇跡」)日本人に馴染み深い四季折々の行事を題材にした4編と、異色のミステリ5編を収録!
素敵な日本人―Amazon.co.jp
ジャンルはいずれもミステリーです。
お正月やバレンタイン、雛祭りと少し飛んでクリスマスといった、季節行事にまつわるミステリーが4編。
それに加えて、ちょっと特殊な設定、不思議な世界観のミステリーが5編収録されています。
短編は、いずれも1編が30ページ前後と短め。
サラッと読めてしまうのが特徴でもあります。
しかし、その約30ページの中にミステリーの起承転結が描かれ、1編ずつでもとても満足感の高い内容です。
仕事や家事の合間などに1編ずつ、という気軽な読み方がしやすいのもポイントですね。
「素敵な日本人」のおすすめポイント
「素敵な日本人」のおすすめポイントです。
季節の巡りを感じつつ
「素敵な日本人」はいずれも連続性のない、独立したお話が収録された短編集です。
しかし、そのストーリーはお正月から始まりクリスマスから終わるように、季節の巡りに合わせた配置となっています。
正確に言えば、季節が明確に分かるのは5つの短編のみ。
いつの季節か分からない短編ももちろんあります。
それでも、冬から春になり、夏が過ぎて秋が訪れ、また冬がやってくる。
そんな季節の巡りを感じさせる配置となっていました。
こんな事件だらけの慌ただしい1年は正直イヤですが、小説で少しずつ楽しむにはもってこいですね!
主人公は日本人、それ以外は自由
この「素敵な日本人」は『舞台が日本で、日本人が主人公であるミステリー』ということ以外は全くつながりのない短編集です。
しかし、その分、自由度が高い短編集となっています。
正統派から倒叙式、日常の謎、SFなど、1冊でさまざまなミステリーを楽しめるので、お得感があります。
感覚としては、星新一さんのショートショートに似ているかもしれません。
わたしが一番好きだったのは4番目に収録されている『君の瞳に乾杯』です。
主要の登場人物2人の意外な正体と結末に驚く、短編ならではのミステリーでした。
ちなみにこの小説のタイトルである「素敵な日本人」という短編はありません。
けれども、読み切った後に振り返ると、たしかに「素敵な日本人」の物語だったかな?と思えもしました。
あまり素敵ではない人たちもいたかもしれませんが。
9編ものイメージが違う短編が収録されているので、誰にでもオススメしやすいのがポイント。
ここまで東野圭吾さんの短編集「素敵な日本人」の感想でした。