東野圭吾さんの小説「恋のゴンドラ」の感想です。
舞台は真冬のゲレンデ。
タイトル「恋のゴンドラ」からはさわやかな恋愛を想像しがちですが、実際はドロドロの愛憎劇が繰り広げられる恋愛サスペンスです。
スノーボーダーたちの思惑が入り交じった恋愛悲喜こもごもをお楽しみください。
- 作者:東野圭吾
- 対象:中学生~
- グロテスクな描写なし
- 性的な描写は少々あり
- 2016年11月に実業之日本社より刊行
- 文庫版の刊行は2019年10月
「恋のゴンドラ」あらすじ
「恋のゴンドラ」は東野圭吾さんの恋愛小説です。
恋愛小説と言っても、いつもミステリーを手がけている東野圭吾さんの作品なのでサスペンス要素もふんだんに盛り込まれています。
冬のスキー場を舞台に繰り広げられる男女の恋の悲喜こもごもが楽しめる作品です。
そんな「恋のゴンドラ」のあらすじを掲載します。
都内で働く広太は、合コンで知り合った桃実とスノボ旅行へ。
ところがゴンドラに同乗してきた女性グループの一人は、なんと同棲中の婚約者だった。
ゴーグルとマスクで顔を隠し、果たして山頂までバレずに済むのか。
やがて真冬のゲレンデを舞台に、幾人もの男女を巻き込み、衝撃の愛憎劇へと発展していく。文庫特別編「ニアミス」を収録。
恋のゴンドラ―Amazon.co.jp
「恋のゴンドラ」には7つの短編と文庫特別編の計8編が収録されています。
短編はそれぞれ舞台や登場人物が同じ連作短編となっています。
わたしは冒頭の2編を読んだ限り、1つ1つが独立した短編集だと思っていました。
舞台が同じ「里沢温泉スキー場」だったので、同じスキー場で繰り広げられる男女の恋模様を描いた作品だと思ったのです。
しかし、2つの別の登場人物が出てくるストーリーが3編目以降から交わり始めます。
登場人物たちの恋模様が複雑に絡み合い、最終的には思わず笑ってしまうような結末を迎えました。
Amazonのレビューにもありましたが、読む方(特に男性)によっては十分なホラーでしょう。
作者のスノーボード愛が強すぎる
「恋のゴンドラ」はストーリーほとんどがゲレンデの上で繰り広げられ、登場人物はずっとスノーボードをしています。
読んでいれば薄々感じますが、作者の東野圭吾さんはスノーボードをこよなく愛するスノーボーダー。
その愛の深さは作者のプロフィールに「スノーボードをこよなく愛し」と書かれるほど。
その強いスノーボード愛もあり、ゲレンデの様子は妙にリアルで疾走感を感じます。
滑っているシーンは書いていて楽しそうなのが伝わってくるくらいです。
本格的な社会派ミステリーのイメージが強い東野圭吾さんですが、こういった軽い感じのミステリーもやはり面白かったです。
この文章を書いているのは7月後半と夏真っ盛り。
真っ白なゲレンデの様子を想像すれば、この猛暑もいくらかは涼しくなれそう?でしょうか。
季節外れの「恋のゴンドラ」の感想でした。
ゲレンデが舞台の作品は他にも!
東野圭吾さんの小説には、この「恋のゴンドラ」の他にもゲレンデが舞台の作品が3作品あります。
その3作品はどれもスキー場が舞台のミステリーで、コメディ感が強めなのが特徴。
軽い気持ちで一気にスカッと読める爽快感があり、楽しい読書をしたい方におすすめできる作品です。
1作目は「白銀ジャック」。
『ゲレンデに爆弾を隠した』という脅迫状を巡って繰り広げられる犯人との攻防戦が描かれています。
2014年には渡辺謙さん主演でテレビドラマ化もされています。
2作目は「疾風ロンド」。
今度は雪山に生物兵器が隠され、主人公が息子とともに兵器を見つけ出すというストーリーです。
2016年には阿部寛さん主演で映画化されました。
3作目は「雪煙チェイス」。
殺人事件の容疑者になってしまった主人公が、唯一アリバイを証明できるスキー場で出会った女性を探すというストーリーです。
この3作品はすべて「恋のゴンドラ」と同じ里沢温泉スキー場が舞台となっています。
そして「恋のゴンドラ」にも登場したスキー場のパトロール隊員・根津も登場。
↑の3作品では主役級の活躍をしています。
これら3作品を読んだ後に「恋のゴンドラ」を読めば、さらに楽しめること間違いなし!
「白銀ジャック」「疾風ロンド」「雪煙チェイス」でヒーローのように活躍していた根津さんにまた会いたい、という方に(出番は少ないですが)オススメです。