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「ドミノ」恩田陸 20人超えの登場人物たちが織りなす群像劇はまさにドミノ倒し!続編「ドミノin上海」も

ドミノ恩田陸イメージ 小説
SparrowsHomeによるPixabayからの画像

恩田陸さんの小説「ドミノ」、その続編「ドミノin上海」の感想です。

28人(匹)ものキャラクターたちが勝手気ままに行動しながら、しかし徐々に1つの結末へと向かっていく、まさに『ドミノ倒し』のような小説です。

途中下車禁止、息つく暇もないほど忙しいエンターテイメントを味わえます。

「ドミノ」基本情報
  • 作者:恩田陸
  • 対象:中学生~
    • エログロ描写なし
  • 2001年7月に角川書店より刊行
  • 2004年1月に文庫化

「ドミノ」について

「ドミノ」は恩田陸さんの小説です。

ジャンルはコメディ。特にハプニングが次々起こるパニックコメディに分類されます。

そんな「ドミノ」のあらすじを掲載します。

一億円の契約書を待つ、締切直前のオフィス。オーディション中、下剤を盛られた子役の少女。推理力を競い合う大学生。別れを画策する青年実業家。待ち合わせ場所に行き着けない老人。老人の句会仲間の警察OBたち。真夏の東京駅、二七人と一匹の登場人物はそれぞれに、何かが起こる瞬間を待っていた。迫りくるタイムリミット。もつれ合う人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが次々と倒れてゆく!抱腹絶倒、スピード感溢れるパニックコメディの大傑作。

ドミノ―Amazon.co.jp

「ドミノ」は、とにかくエンターテイメントに特化している小説です。

本当だったらまったく接点のなかった人たちが、各々の行動により、本人たちの意思とは関係なくつながっていく。

その様はまさにドミノ倒しのようでした。

小説に関係のない描写は1つもない、贅沢なストーリーだったと思います。

ただ、その分、小説における余白がなく、話がギチギチな印象です。

息つく暇もないストーリー展開が「ドミノ」の良さでもあり、微妙なところでもあります。

読んだ感覚としてはピクサーのアニメーション映画を観ている感じでした。

無駄も隙もない、小説の面白さを堪能するにはオススメの1冊と言えます。

舞台は東京駅

「ドミノ」の主な舞台は東京駅です。

東京駅には、たとえ東京に住んでいなくても訪れた経験がある、という方は多いのではないでしょうか?

花緒
花緒

わたしは何度か東京駅を訪れた経験があります。しかし、広すぎるのと時間に追われていたので、その全容はまったく知りません・・。

とにかくだだっ広いイメージがある東京駅。

そんな日本有数のターミナル駅を中心に繰り広げられる各々の群像劇は必見です。

クセ強めの登場人物たち

「ドミノ」を読み始めてまずビックリするのが、冒頭に掲載されている登場人物紹介です。

1人1人の紹介が面白く、ついつい読んでしまうのですが、途中から「人数が多すぎる・・・」と心配になてきます。

数えたところ27人+1匹、計28人(匹)の紹介でした。

また、人物紹介は物語のストーリーに関わる重要な事実を明かしていたりするので「大丈夫なのだろうか」と読者ながら心配になりました。

けれども、どちらも心配は杞憂です。

人数は多いですが、わざわざ覚えようとしなくても覚えられるくらいキャラクターが濃いので覚えられます。

そして、人物紹介で明かされている情報以上のことが起こり続けるので、面白さに関しては問題ありません。

続編「ドミノin上海」について

2001年に単行本が刊行された「ドミノ」は、それから約20年後の2020年に続編「ドミノin上海」が刊行されています。

「ドミノ」基本情報
  • 作者:恩田陸
  • 対象・中学生~
    • エログロ描写なし
  • 2020年2月にKADOKAWAより刊行
  • 「ドミノ」の続編

「ドミノin上海」は「ドミノ」から刊行は間が空き、小説の中の世界も数年後になっています。

そんな「ドミノin上海」のあらすじを掲載します。

イグアナが料理されれば盗賊団が上海に押し寄せ、そこに無双の甘党が上陸。風水師が二色に塗り分けられ、ホラー映画の巨匠がむせび泣くと秘宝『蝙蝠』の争奪戦が始まった!革ジャンの美青年がカプチーノをオーダー、一瞬で10万ドルが吹き飛んだら、上海猛牛号で渋滞をすりぬけ、まぁとにかく寿司喰寧。歯が命のイケメン警察署長が独走し、青年が霊感に覚醒したとき、パンダが街を蹂躙する!張り巡らされた魔術に酔いしれよ!圧巻のエンタテインメント。

ドミノin上海―Amazon.co.jp

「ドミノin上海」はドミノの続編で、一部の登場人物は再登場しています。

しかし、「ドミノin上海」は前作「ドミノ」を読んでいなくても全然問題なく楽しめます。

花緒
花緒

実際わたしは「ドミノin上海」から読みましたが、問題なく楽しめました。

「ドミノin上海」は前作のように、いや前作よりパワーアップしたストーリー展開を楽しめるのが特長です。

接点のない登場人物たちの行動がどんどん交わり、1つに集結していくドミノ倒しは圧巻です。

舞台は中国・上海

「ドミノin上海」の舞台は中国の上海。

前作の東京駅からスケールアップし、上海の都市全体でドミノ倒しが繰り広げられます。

花緒
花緒

わたしは上海に行ったことがないので描写の正確さなどは何とも言えませんが、上海の熱気が伝わってきて読んでいて興奮しました。

舞台が都市全体になったことで、展開はよりダイナミックになっているのも魅力です。

(おそらく)前作で大好評であったであろうバイクチェイスもふんだんに盛り込まれています。

登場人物(動物)はやはり多い

「ドミノin上海」は前作「ドミノ」と同じ28もの人物・動物の紹介が冒頭に掲載されています。

微かな違いとしては、動物が前作の1匹から3匹に増えたことでしょう。

特筆すべきは、パンダが大活躍すること!

パンダ好きは必見!と言いたいところですが、中身がおっさんなので、可愛らしいイメージが一蹴されてしまうかもしれませんが。

「ドミノ」2作に共通する注意点

「ドミノ」&「ドミノin上海」を読むときは、できるだけ時間を空けず、できれば一気に読むことをオススメします。

なぜなら、一気に読まないと複雑に絡み合ったストーリーの細部を忘れてしまうからです。

「ドミノ」は300ページ超え、「ドミノin上海」は500ページ超えと大ボリュームですが、時間があるときに一気に読み切りましょう。

てんでばらばらだったキャラクターたちが最後に一堂に会す様子は圧倒的な気持ちよさがあります。

小説でしか味わえない、入り組んだストーリーの面白さを堪能したいならぜひともオススメしたい2冊「ドミノ」「ドミノin上海」でした。

「ドミノ」の続編である「ドミノin上海」は↓

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